観光名所である雲南省は今、業界内で様々な消費の場面を打ち出し、イノベーションや異業種コラボも展開し、従来の観光をじっくり体験する形に変えている。
省内最大都市の昆明市は新たな消費の活性化を狙い、歩行者天国の南屏でジャカランダをそろえた「花海交響·南屏珈香」という催しを開いた。花とコーヒーの販売、そして低空経済を交えた形でクリエイティブな経済格上げを果たして、多くの人が訪れた。
アジア最大の生け花市である闘南の市場では、音楽祭に伝統の切り紙を交えた形で、花をテーマにした没入型のイベントを催した。生け花を「鑑賞品」から「文化商品」に変えて味わいのあるものとし、消費につながる観光IPにしている。

雲南省はまた、「左手にコーヒー、右手にお茶」とのイメージでコーヒーとお茶の文化へのさらなるこだわりを求めている。「春の花とお茶、コーヒー」をテーマとし、景邁山の古茶林や保山の潞江壩のコーヒー園など計60か所を対象に、ルーツ探りや見学などのコースを設け、お茶づくりやコーヒーをたしなむ形で雲南省の暮らしぶりを感じさせる。昆明の翠湖ではコーヒー文化祭が、大理の周城では染め物の体験会が行われ、「コーヒー+伝統芸能」「お茶+手作り」というコラボ形式で楽しめる形としている。
また雲南省では、「デジタルノマド」やクリエーターなどを対象に「芸術家の第二の居場所」「農村クリエイティブ工房」といった新種の労働スタイルを生み、大勢のアーティストが定住しているほか、クリエイティブ産業の集結場所となり、村おこしに役立っている。
気候が穏やかで素朴な風土、300年以上の歴史がある彝族の村で、棋盤山のふもとにある大墨雨村は、2015年から国内外の様々な業種の人たちが移住するようになり、現在は「新村民」が80世帯以上となっている。村おこしの事業に力を入れた大墨雨は、昆明市から30分以内の経済圈で名の知れた「ブロガー村」となり、2024年にのべ2.1万人が足を運び、観光収入は203万元にのぼった。
また大理は移住者が60万人を超え、観光業が「見学型」から「没入型」へと変わった上に、民宿や手工芸、地元文化IPといった産業も拡充している。元江県那諾郷ハニでは、棚田への移住を進めたことで面積2000ムーの畑が景観を取り戻し、民間資本による村全体の共同開発で、生態系の保護と経済効果の両立を果たしている。

高黎貢山の怒江州瀘水市六庫街道には、現地のリス族の言葉で「村に降り注いだ初めての陽光」という意味の「陽坡」という見事な名の村があり、まさしく「一すじの陽坡」の地になっている。
(中国経済新聞)