阿里巴巴(アリババ)で25年間にわたり活躍し、“淘宝(タオバオ)第1号プログラマー”として知られる蔡景現(ツァイ・ジンシエン/ハンドルネーム:多隆)氏の新たな進路が明らかになった。
8月19日、杭州に本社を置くベンチャー企業「ベイリェンジュグァン・テクノロジー(浙江)有限公司」は公式Wechatを通じて、多隆氏が同社に正式に加入したと発表した。同日、同社のカスタマーサポート担当者がメディア「ホンシンキャピタル(紅星資本局)」に対し、多隆氏の入社を認めた上で、共同創業者モーサン(墨三)氏の動画アカウントも紹介した。

貝聯珠貫 LCComputer(ベイリェンジュグァン・テクノロジー(浙江)有限公司)
動画の中でモーサン氏は「多隆がついにベイリェンジュグァンに加わった。多隆とラオビー(老畢/阿里出身のエンジニア・畢玄)という2人のトップエンジニアが再びタッグを組んだ」と語り、「この数日は休暇を楽しんでいる」と近況を明かした。

多隆(右)とラオビー(老畢/阿里出身のエンジニア・畢玄)
ベイリェンジュグァン・テクノロジーは2021年11月に設立され、AI基盤およびビッグデータ関連サービスを手がける新興企業。金融、自動車、通信、物流、小売といった幅広い業界に対し、企業のデジタル化支援を展開している。同社の創業メンバー6名はいずれもアリババ出身であり、創業者兼CEOの畢玄(ビー・シュエン)氏はアリババに14年間在籍していたほか、モーサン氏は阿里クラウドで交通業界向けのアーキテクトチームを率いた経験を持つ。
蔡景現氏は2000年に浙江大学(旧 杭州大学)生物系の修士課程を修了後、アリババに入社。2003年、馬雲(ジャック・マー)氏に招かれて淘宝の初期開発チームに参加し、わずか1か月でEC取引システムやプラットフォームシステムを構築した。淘宝創業期を支えた中心メンバーとして名を知られている。
特に検索エンジンの開発では圧倒的な技術力を発揮し、2003年から2007年にかけて検索機能の設計・保守を一人で担当しただけでなく、システム障害の対応においても「神」と称されるほどの実績を残してきた。アリババ首席人材官の彭蕾氏は「彼はコードを書くとき、「入定」と言われる深い集中状態に入ることができる人物だ」と評価している。
2014年にはアリババのパートナーに選出され、2017年には胡潤富豪榜(フールン長者番付)に名を連ね、最高で26億元(約535.3億円)の資産を保有していた。2023年、アリババの組織再編に伴いパートナー職から退いたが、その後の動向は注目を集めていた。
今回のベイリェンジュグァン・テクノロジーへの合流により、かつて淘宝をけん引したエンジニアたちが再び集結する形となり、中国IT業界ではAIおよびデジタルインフラ分野における新たな動きとして大きな関心が寄せられている。
(中国経済新聞)