新東方(ニュードンファン)創業者で董事長の兪敏洪(ユー・ミンホン)氏が、南極旅行の様子を収めた動画を相次いで公開し、ネット上で大きな関心を集めている。11月18日までに計10本の動画を投稿し、ドレーク海峡の横断、南極・ウェッデル海でのゴムボート探検、そして「シャク号」と呼ばれる郵船での氷海航行など、臨場感ある映像を披露した。
一方、兪氏が乗船していた郵船「シャク号(正式名称:コマンダン・シャク号)」の乗船料金が、旅行プラットフォームで確認できることから、利用した客室の価格が改めて注目を浴びている。

■ 最高価格は約1480万円の長期航路
旅行サイトによると、「コマンダン・シャク号」には複数の航路が設定されており、13日間・12泊(ウシュアイア発着):一人当たり約26万円〜43万円、29日間・28泊(ホバート—南極—ケルゲレン諸島—ケープタウン):一人約148万円(※日本円表示:約1480万円)。特に29日間の長期航路は豪華スイートのみが販売されており、その高額さからネット上では「想像を超える価格」「一般人には手が届かない世界」といった反応が寄せられている。
■ 創立32周年の日に南極から社員へメッセージ
11月16日は新東方の創立32周年記念日だった。兪氏は南極滞在中に全社員へ内部文書を送り、「南極の氷雪の世界で、静寂と白さに包まれながら、会社の32周年を祝う」とメッセージを送った。

しかし、ネット上では一部社員の声として、「経営者が南極旅行中では共感しづらい」「記念日当日は授業後に深夜まで業務に追われた」といった温度差を指摘するコメントも見られた。
■ 動画は計10本に 高級郵船の豪華設備も注目点
兪氏はその後も複数のSNSで南極探検の動画を連日投稿しており、現在までに10本を公開。動画では、氷上を軽やかに進む郵船の様子が強調されている。
公開情報によれば、「コマンダン・シャク号」は2021年に就航、乗客定員は245人。船内には露天温泉、劇場、探険用のゴムボートなどが備えられ、北極点への到達、ベリンツォン海やロス海などの秘境エリア探訪。上陸者より月面着陸者の方が多いと言われるピーター1世島への接近など、一般の観光では難しい探険体験が売りとなっている。
兪敏洪氏の南極旅行は、多くのユーザーから「夢がある」「一度行ってみたい」と羨望を集める一方で、創業者と社員との間に見られる温度差に関する議論も呼び起こしている。
■ 新東方と兪敏洪氏とは
新東方(ニュードンファン)は1993年に北京市で設立された中国最大級の教育サービス企業で、語学教育、留学支援、学習教材開発など多角的に事業を展開している。オンライン教育企業「東方甄選(ドンファンジェンシュエン)」の成功でも知られ、中国教育業界を代表する存在となっている。

兪敏洪(ユー・ミンホン)氏は新東方の創業者であり、中国で最も知られた教育起業家の一人。大学講師を経て起業に踏み出し、同社を中国屈指の大企業に育て上げた人物として知られる。近年は教育事業と並行して、社会問題や個人の学びについて積極的に発信する“パブリックインテレクチュアル”としても注目されている。
(中国経済新聞)
