12月5日夜、中国・成都での公式日程を終え、市民と笑顔で写真に収まっていたフランスのマクロン大統領が、帰国からわずか48時間足らずで対中姿勢を一変させた。
フランスメディアのインタビューでマクロン氏は、「中国経済が急速に発展した重要な時期に巨額の投資を行ったのは欧州だ。今こそ中国は欧州に“応える”べきだ」と発言。中国企業に資金や技術面での協力を求め、欧州が直面する困難の克服に協力すべきだとの認識を示した。
さらに同氏は、「中国との貿易赤字はもはや持続不可能だ。中国はほとんど欧州製品を購入していない状況で、これは欧州の利益を深刻に損なっている」と強調。「中国が近く具体的な行動を取らなければ、欧州は数カ月以内に脱中国(デカップリング)や高関税など、強硬措置を取らざるを得なくなる」と述べ、事実上の最後通告とも受け取れる強い表現で中国側に迫った。「中国は選択を迫られている」と言い切る場面もあった。
この急激なトーンの変化に対し、中国のインターネット上では「また本性を現した」「訪中中は笑顔、帰国したら態度が急変した」といった批判が相次いでいる。昨年4月の訪中直後にも、マクロン氏が帰国後すぐに対中強硬姿勢へ転じ、EUと歩調を合わせて中国製電気自動車(EV)への高関税導入を主導した経緯があるため、「今回も同じパターンではないか」との失望感が広がっている。
一方、中国側は今回のマクロン発言に冷静かつ明確に反論している。
「改革開放初期に欧州が投じた投資は“援助”ではなく、市場開放と引き換えの対等な経済活動だった。欧州企業は合弁事業などを通じて中国市場で巨額の利益を得てきた。中国の発展と欧州企業の成功は双方にとっての“共栄”の結果であり、一方が他方に借りがある関係ではない。“恩返し”を求めるのは筋違いだ」とする論調が、国営メディアやSNSで目立つ。
中仏関係はド・ゴール政権以来の長い友好の歴史を持つため、中国は今回もマクロン氏を国賓級の待遇で迎えた。しかし、中国国内では「友情は友情、ビジネスはビジネス」との声も強く、EU全体の立場を代表する形で発せられた今回の“警告”に対し、中国が譲歩する可能性は極めて低いとの見方が多い。
わずか数日のうちに笑顔から警告へと姿勢を変えたマクロン氏の対応は、中欧間の貿易摩擦がさらに激化する前兆との指摘もあり、今後の展開が注目される。
(中国経済新聞)
