中国の結婚登録数、65.7万組増 大学で「恋愛・結婚・出産教育」必修化の提案も?

2026/03/12 11:45

中国では結婚登録数が増加に転じる中、若者の結婚観や出産観を支える政策や教育の強化が議論されている。大学で「恋愛・結婚」や「出産」に関する教育を教養教育の必修科目として導入すべきだとの提案も出ている。

中国民政部が公表したデータによると、2025年の全国の結婚登録数は676万3,000組、離婚登録数は274万3,000組だった。結婚登録数は2024年に比べて65万7,000組増え、10.76%の増加となった。

情報によれば、すでに広東、福建、江西、四川、湖北、河北、上海、重慶、安徽、湖南の10省・市が2025年の結婚登録データを公表している。特に人口流入の多い地域で増加率が高い傾向がみられる。

例えば、広東省の2025年の結婚登録数は61万4,000組で、前年より10万2,000組増え、増加率は19.92%に達した。上海市では同年、婚姻登録が17万5,092組行われ、このうち結婚登録は12万5,102組、離婚登録は4万9,990組だった。上海の結婚登録数は2024年に比べて約38.7%増加している。

また、人口流入の多い都市でも結婚登録数の大幅な増加がみられる。深圳市では2025年の結婚登録数が11万8,900組となり、前年より28.54%増加した。

こうした増加の背景には制度改革による手続きの簡素化がある。2025年5月10日に改正された「婚姻登記条例」が施行され、婚姻登録の地域制限が撤廃された。結婚手続きの際に戸籍簿の提出も不要となり、全国どこでも結婚登録ができるようになった。制度の導入後、「省をまたいだ婚姻登録」が大きく増加しており、特に流動人口の多い都市で増加が目立つ。

この制度変更は、観光と結婚を組み合わせた新たな需要も生み出している。各地では「結婚証取得の新たな名所」を打ち出し、結婚登録と観光を組み合わせた取り組みが広がっている。現在、中国には「公園型」の婚姻登録拠点が525か所、屋外での結婚証授与拠点が1,000か所以上整備されており、新婚カップルは景勝地など好きな場所で結婚登録を行うことができる。

例えば江蘇省では、新年に合わせて景勝地や古い町並みに設けられた特色ある結婚証授与拠点が相次いで開設され、新婚夫婦に特別なサービスを提供している。

結婚を後押しするための支援策も各地で導入されている。山西省呂梁市では2025年1月1日から、市内で初めて結婚登録を行い、かつ女性が35歳以下の夫婦に対して1,500元(約3万円)を支給する制度を開始した。広州市白雲区の龍帰南嶺村や東莞市横瀝鎮新四黄塘村などでも、結婚を奨励する取り組みが打ち出されている。

また浙江省の杭州市や寧波市などでは、新婚夫婦に結婚関連の消費クーポンを配布する施策も始まっている。

首都経済貿易大学労働経済学院の姜全保教授は、「結婚手続きがより便利になったことに加え、物質的な支援を通じて結婚を後押しする政策が前倒しで進められている」と分析する。

2026年の政府活動報告でも「積極的な結婚・出産観の提唱」が掲げられ、初婚・初産家庭への住宅保障の強化や、多子世帯の住宅環境改善を支援する方針が示された。

姜教授は、住宅価格が下落傾向にあるとはいえ、多くの若者にとって住宅負担は依然として大きいと指摘する。若者が住まいを確保できれば、結婚や出産を促す効果が期待できるという。今後は住宅ローン、公的積立金、保障性住宅などさまざまな分野で支援策が拡充される見通しだ。

さらに、出産支援政策をより早い段階から進める動きもある。2026年の全国人民代表大会・中国人民政治協商会議(いわゆる「全国両会」)の期間中、全国政治協商会議委員で湖北省の首義法律事務所主任の謝文敏氏は、新婚夫婦への住宅補助や、第2子・第3子を持つ家庭への住宅購入券の支給を提案した。新婚夫婦が自分たちの住まいを持つことは、出産を支援する社会を築くうえで重要だとしている。

若者の結婚観や出産観の形成をめぐっては、教育面からの取り組みも提案されている。全国人民代表大会代表で江蘇省鎮江経済技術開発区の農業機械協同組合理事長の魏巧氏は、「大学生の恋愛・結婚教育」と「出産教育」を大学の教養教育に組み込み、「必修科目と選択科目」を組み合わせた体系的な教育として実施することを提案した。

また全国人民代表大会代表で湖北省恩施州の高校政治教師である張瓊麗氏も、科学的で体系的な健全な恋愛・結婚観の教育を大学新入生の導入教育に組み込む必要性を指摘する。教育部が中心となり関係省庁と連携し、「大学における健全な恋愛・結婚観教育の指導要領」を策定すべきだと呼び掛けている。

結婚登録数の増加という回復の兆しの背景には、住宅政策や経済支援、教育改革を組み合わせた包括的な結婚・出産支援体制を模索する中国の動きがある。

(中国経済新聞)