中国・深セン証券取引所に上場する中南紅文化集団股份有限公司(証券コード:002445、以下「中南文化」)はこのほど、江陰蘇龍熱電有限公司の持分57.30%を取得する計画を発表した。取引は江陰電力投資有限公司**が保有する株式を対象とし、株式の発行と現金支払いを組み合わせて実施する予定。買収完了後、蘇龍熱電は中南文化の連結子会社となる見通しである。
本件は、従来の機械製造事業を中核としてきた同社が事業構造の転換を進め、総合エネルギー分野へ本格進出するための重要な施策と位置付けられている。
機械製造の強みを電力分野へ展開
中南文化は現在、①機械製造、②新エネルギー、③文化・メディアの三事業を柱としている。
機械製造部門では、金属管継手、フランジ、配管システム、圧力容器の製造・販売を主力とし、発電所向けの工業用金属管部品などを手掛けている。
新エネルギー部門では、太陽光発電所の開発、投資、建設、運営を行う。
文化・メディア部門では、ドラマや映画の投資、企画、制作、配給などを展開している。

同社は公告の中で、「本取引の完了により、新エネルギーおよび従来型火力発電分野における電力事業の体制が拡充される。また、工業用金属管の製造分野で培った強みを生かし、電力分野での販路拡大とブランド力の向上、市場占有率の上昇を図り、機械製造事業のさらなる発展につなげる」と説明している。
蘇龍熱電の業績動向
蘇龍熱電は、火力発電と太陽光発電を主力とし、熱供給や石炭取引なども手掛ける総合エネルギー企業である。実質的な支配者は江陰市の国有資産監督管理機関で、地方政府系企業として運営されている。財務データは以下の通り。
| 年度 | 売上高 | 日本円換算 | 純利益 | 日本円換算 |
| 2024年 | 37.80億元 | 約794億円 | 6.21億元 | 約130億円 |
| 2025年 | 30.95億元 | 約650億円 | 3.47億元 | 約73億円 |
2025年の減益は、持分法適用会社が2024年に再生可能エネルギー補助金(過年度分を含む)を一括計上した反動による特殊要因が主な原因とされる。
曲折を経た事業再建と再転換
中南文化の前身は工業用金属管メーカーで、2010年に上場。2014年以降、文化産業への大規模な事業転換を進めた。
2014~2015年には、大唐輝煌伝媒股份有限公司を約10億元(約210億円)で買収し、文化分野へ進出。その後も映像制作会社、芸能マネジメント会社、ゲーム会社などを相次いで傘下に収め、事業領域を拡大した。しかし、業界規制の強化や買収企業の業績不振により、多額ののれん減損を計上。
| 年度 | 最終損益 |
| 2018年 | ▲21億元(約▲441億円) |
| 2019年 | ▲17.98億元(約▲378億円) |
さらに、違法な債務保証や資金問題も重なり、上場廃止の危機に直面した。
2020~2021年に司法再建が実施され、実質支配者は地方政府系機関へ変更。不採算子会社の整理や文化事業の縮小を進め、事業構造の再編とコスト削減を進めた。
現在の課題:回復途上の収益基盤
事業再編により業績は回復傾向にあるものの、収益基盤は依然として安定性を欠く。
業績推移
| 年度 | 売上高 | 日本円換算 | 純利益 | 日本円換算 |
| 2022年 | 6.56億元 | 約138億円 | 0.28億元 | 約6億円 |
| 2023年 | 7.21億元 | 約151億円 | 1.29億元 | 約27億円 |
| 2024年 | 9.21億元 | 約193億円 | 0.57億元 | 約12億円 |
| 2025年1~9月 | 9.10億元 | 約191億円 | 0.82億元 | 約17億円 |
主力の機械製造部門では収益性の低下が続いている。
| 年度 | 売上総利益率 |
| 2023年 | 25.19% |
| 2024年 | 21.44% |
| 2025年上期 | 17.76% |
売上が増加しても利益が伸び悩む傾向が課題となっている。
エネルギー分野への転換の成否が焦点
同社は「高付加価値製造+文化・メディア+新エネルギー」を三本柱とする成長戦略を掲げるが、現在は機械製造への依存度が極めて高い。文化・メディア事業の売上比率はすでに1%前後まで縮小している。
今回の買収により、発電事業による安定収益基盤の確立、産業設備製造事業との相乗効果創出、地方国有資本との連携強化などが期待されている。
一方、市場関係者の間では「異なる分野の資産統合が想定通りの相乗効果を生むか、収益力を大幅に高められるかは不透明だ」との慎重な見方もある。
新旧事業の融合が相乗効果を生み出せるかどうか――。
中南文化の総合エネルギー企業への転換は、正念場を迎えている。
(中国経済新聞)
