上海第三空港の建設始動、投資会社設立を発表

2025/08/18 11:38

上海と江蘇省南通市が共同で推進する「滬蘇南通新空港」の建設が新たな段階に進んだ。8月15日、滬蘇南通新空港建設投資有限公司が正式に設立され、登録資本金は10億元に達する。この投資会社は、上海空港(集団)有限公司が51%、南通城市建設集団有限公司が49%の株式を保有し、事業範囲には民用空港の運営、公共航空輸送、建設工事、民間航空機の整備、及び一般航空サービスなどが含まれる。この設立は、上海第三空港の建設が本格的に始動したことを象徴する重要な節目となる。

上海は現在、虹橋空港と浦東空港という2つの主要空港を有しており、2024年には両空港合わせて80.3万回の離着陸(浦東空港52.8万回、虹橋空港27.5万回)、旅客輸送量1億2480万人を記録し、世界で最も繁忙な空港の一つとなっている。新設される滬蘇南通新空港は、上海市と南通市が協力して建設する民用輸送空港であり、上海国際航空ハブの重要な構成要素として位置付けられている。この空港は、虹橋空港および浦東空港と連携し、上海のマルチエアポートシステムを形成する。

新空港は南通市通州区二甲鎮に位置し、敷地面積は約67万平方メートルで、虹橋空港よりも16万平方メートル広い規模を誇る。計画では、2本の4F級遠距離平行滑走路(間隔2250メートル)と、年間4000万人以上の旅客に対応可能なターミナルビルを建設する。運営は上海空港集団と南通城市建設集団が共同出資する合弁企業が担当する。

新空港の計画は、2019年に発表された「長江三角洲地域一体化発展計画綱要」に明確に盛り込まれ、2020年9月には中国民用航空局から建設用地の承認を得た。2021年には、南通市が「空港を中心とした鉄道上のハブ」を構築する構想を打ち出し、北沿江高速鉄道や如通蘇湖都市間鉄道など複数の鉄道路線との接続を計画。さらに、2022年6月には上海と江蘇省が協力協定を正式に締結し、空港の建設が加速した。

この空港は、完成後には上海のマルチエアポートシステムに組み込まれ、長江デルタ地域の北部における空鉄聯運ハブとしての役割を果たす。北沿江高速鉄道との接続により、上海中心部から約100キロメートル離れた立地ながら、広域的な交通網の利便性を活かし、長江デルタ地域の経済発展と一体化をさらに推進する。

新空港は、単なる交通インフラの拡張にとどまらず、長江デルタ地域全体の経済成長を牽引する役割が期待されている。南通市はすでに新空港周辺に臨空経済区を計画し、航空技術、総合保税、国際商貿、空港ビジネスなどの産業クラスターを構築する方針を発表している。これにより、南通市および周辺都市の経済発展が加速し、上海の経済圏が北部へ拡大する契機となる。

また、空港の建設により、既存の浦東空港と虹橋空港の運用圧力が軽減され、旅客および貨物の輸送効率が向上する。特に、貨物輸送においては、2035年までに50万トン、2050年までに150万トンの貨物取扱量を目指す計画が掲げられている。

新空港の建設期間は4~5年を予定しており、2029年から2030年にかけて完成する見込みだ。

(中国経済新聞)