24歳の後継世代、大手宅配企業の取締役に就任へ 

2025/12/16 10:45

中国大手宅配企業の韵達股份(Yunda Holding)は12月13日、取締役会の改選に関する公告を発表した。第8期取締役会は、聶勝雲(ニエ・トンユン)氏、陳立英(チェン・リイン)氏、聶樟清(ニエ・ジャンチン)氏、聶毅鵬

注目されるのは、候補者5名のうち4名が実質支配者・聶勝雲氏の家族である点だ。なかでも、聶毅鵬氏は2001年生まれの24歳で、聶勝雲氏と陳立英氏の長男にあたる。

公告によると、聶毅鵬氏は2001年1月生まれ、中国国籍で修士号を取得。2025年4月から睹煜(上海)信息服务有限公司に勤務するほか、上海盈颉実業有限公司の総経理、上海源迈実業有限公司の執行董事兼総経理を兼任している。現時点で、韵達股份の株式は保有していない。

また、候補者の一人である聶樟清氏は、実質支配者・聶勝雲氏の父。1951年4月生まれで、学歴は初中(中学)卒。上海韵达貨運有限公司の創業株主であり、現在も同社の取締役を務めている。保有株数は1,612万6,652株にのぼる。

さらに、陳立英氏は聂腾云氏の妻で、1975年10月生まれ。東華大学EMBA修了後、1999年に上海韵达貨運有限公司を創業。現在は韵達股份の共同董事長兼副社長を務めている。

この結果、今回の取締役会改選では、非独立取締役5名中4名が同一家族出身という構成となる。会社は12月30日に「2025年第二回臨時株主総会」を開催し、第9期取締役会の選任議案を審議する予定だ。

資料によると、韵達股份は中国を代表する宅配事業者の一社で、2017年に新海股份を通じた借殻上場によりA株市場に上場した。上場以降、売上規模は急拡大し、2024年末時点の売上高は485億4,300万元(約9,708億円)に達している。

一方で、競争激化の影響から足元の業績は圧迫されている。2025年前三四半期の売上高は374億9,300万元(約7,499億円)と前年同期比5.59%増となったが、親会社株主に帰属する純利益は7億3,000万元(約146億円)にとどまり、前年同期比48.15%の大幅減益となった。非経常損益を除いた純利益も6億5,500万元(約131億円)で、44.15%減少している。

さらに、同社が先月発表した2025年10月の宅配サービス主要経営指標によると、1件当たり収入は2.11元(約42円)と前年同月比4.46%上昇したものの、当月の宅配事業収入は44億9,500万元(約899億円)と0.88%減少。取扱個数も21億3,500万件と、前年同月比で5.11%減少した。

若年の後継世代登用と、家族色の強いガバナンス体制が、競争激化と収益性低下に直面する韵達股份の中長期戦略にどのような影響を及ぼすのか、市場の注目が集まっている。

(中国経済新聞)