メルセデス・ベンツ、中国で販売急減 電動車ブームが高級車市場を直撃

2025/08/18 07:30

中国市場において長年高い存在感を誇ってきたメルセデス・ベンツが、今転換期の厳しい現実に直面している。

今年上半期、ベンツの中国における販売は前年同期比14%減と大きく落ち込んだが、下半期の出足はさらに厳しいものとなった。自動車情報プラットフォーム「ドンチャーディ」(「懂車帝」)のデータによれば、7月の中国国内小売販売台数は2万6653台となり、前月比40%以上減少。これは過去5年間で初めて月間販売が2.7万台を下回った結果となる。また、この数字は直近3年間で見ても2番目に低い水準であり、従来の低迷期でも3.6万台を下回ったことはなかった。

販売低迷は車種全般に及んでいる。主力モデルであるEクラスでさえ7月の販売は7700台にとどまり、GLCが7514台、Cクラスは6870台と大幅に減少。GLBの販売は1150台にとどまり、その他モデルの販売台数はすべて1000台以下となった。

背景には、中国における電気自動車ブームの急速な拡大がある。アイト(問界)、リーシャン(理想)、ニオ(蔚来)といった中国発の電動化ブランドが著しい成長を見せ、高級車市場におけるシェアを徐々に浸食している。また、競争の激化により高級ブランドにおいても価格下落が加速しており、これまで価格の維持に比較的強かったメルセデスでさえ、今年に入り大幅な値引きに踏み切っている。具体的には、Cクラスでは最大36%(約12万元)の値引きが確認され、Eクラスでも最大約20%(約10万元)の割引が行われている。

新エネルギー車分野では、高いブランド力を持つベンツであっても苦戦を強いられている。ドンチャーディによれば、EQAやEQBといった電動SUVの終端販売価格は大幅に引き下げられたにもかかわらず、7月の販売はそれぞれ103台、233台にとどまった。

こうした状況を踏まえ、ベンツは今年、第1四半期に「EQ」シリーズを独立したラインとして運営するのをやめ、主流車種ラインに統合する方針を明らかにした。また、上海モーターショー直前に、純電動MMAプラットフォームに基づく初の国産モデルとなる新型電動長軸距CLAを発表し、今年秋の発売を予定している。

同社の最新計画によれば、2027年までに36車種の新型車を投入する予定で、そのうち17車種が電動モデルとなり、さらに中国市場専用モデル7車種の投入も表明している。

中国市場を席巻し続けた「高級ブランド」という看板は、電動化という大きな波の中で新たな試練に晒されている。メルセデス・ベンツが次に示す一手に注目が集まる。

(中国経済新聞)