中国からの貨物船、西海岸主要港への到着が「ゼロ」に

2025/05/12 12:30

米国トランプ大統領が中国に対して異例の高関税を課した結果、米国の複数の港で貨物取扱量が急落し、業界内に警鐘が鳴らされている。CNNは5月10日、米西海岸の港湾当局者が9日朝に驚くべき事実を明らかにしたと報じた。過去12時間で、中国から米西海岸の主要港に向かう貨物船が1隻も出航していない。これは新型コロナウイルス流行以降、初めての事態である。

このデータは、カリフォルニア州のサンペドロ湾総合港湾区から提供されたもので、同港湾区にはロサンゼルス港とロングビーチ港が含まれる。報道によると、6日前には中国から41隻の貨物船がこの港湾区に向かう予定だった。同港湾区は、上海、シンガポール、香港、深圳に次ぐ世界第5位の繁忙港である。しかし、9日にはその数がゼロにまで落ち込んだ。

CNNによると、港湾当局者を驚かせたのは、中国からの貨物船の到着数が急減したこと自体だけでなく、その変化のスピードの速さである。「これは憂慮すべき事態だ」とロングビーチ港の最高経営責任者マリオ・コルデロ氏は述べ、「現在見られる(船便のキャンセルや到着船舶の減少の)規模は、コロナ禍の時期を超えている」と指摘した。

さらに、CNNは「コロナ流行以降、初めて見られる異常現象」として、関税政策の影響で、シアトル港が7日に受け入れたコンテナ船がゼロだったと報じた。「船が全く来ていないからだ」とシアトル港の港湾局長ライアン・カルキンス氏は語った。

シアトル港だけでなく、米国で最も繁忙な港の貨物取扱量は軒並み急減している。ロングビーチ港の現在のコンテナ取扱量は通常時に比べ35~40%減少しており、ロサンゼルス港も今週の貨物量が31%減少した。また、東海岸のニューヨークおよびニュージャージー港も、貨物量の減少に備えているという。

報道によると、港湾当局者は、物価上昇や商品不足に直面する米国の消費者にとって、米国政府と中国が「できるだけ早く合意に達すること」が重要だと警告している。「状況が急速に改善されなければ,つまり、現在の不確実性が解消されなければ,店頭の棚が空になる可能性がある。消費者は今後30日以内にその影響を実感するだろう」とコルデロ氏は述べた。

この事態は、米中の貿易摩擦が実体経済に深刻な影響を及ぼしていることを示している。米国の港湾業界は、関税政策の見直しや交渉の進展を強く望んでおり、消費者への影響を最小限に抑えるための早急な対応が求められている。

(中国経済新聞)