中国の家具業界に激震、10日間で2人の著名経営者が転落死、大手三社創業者全員が調査対象に

2025/07/29 11:30

2025年7月、中国の家具業界に深刻な衝撃が走っている。わずか10日間のうちに、業界を代表する経営者2人が相次いで転落死し、その他複数の大手企業創業者が検察当局の調査対象となっている。

7月27日午前、中国最大の家具小売チェーン「居然之家(居然智家新零售グループ)」の董事長・汪林朋氏が北京市内で転落死した。享年57歳。汪氏は、今年4月より武漢市江漢区監察委員会により留置・調査を受けていたが、事件のわずか4日前に自宅へ戻ったばかりだった。

そのわずか10日前には、華南地方で著名な内装リフォームチェーン「靚家居」の創業者・曾育周氏が広州市で転落死している。曾氏が築いた靚家居は「トータルインテリア(整装)」という概念を業界に導入した先駆者とされていたが、彼の死去とほぼ同時に、設立から24年の歴史を持つ同社は破産清算を発表した。

また、汪林朋氏の釈放が報じられた翌日には、中国西南部を拠点とする家具販売上場企業「富森美」の董事長・劉兵氏が、成都市郫都区検察委員会により身柄を拘束され、調査を受けていることが明らかになった。

さらに、今年5月には、もう一つの大手家具チェーンである「紅星美凱龍」の創業者・車建興氏が、雲南省の検察当局により留置・調査の対象となっていた。

これにより、中国国内における家具業界の三大上場企業すべての創業者が、何らかの形で司法調査や捜査の対象となる異常事態となった。

業界関係者は、「これは単なる偶然ではなく、業界全体への“津波警報”だ」と警鐘を鳴らしている。近年の不動産市場の低迷や消費マインドの冷え込み、資金繰りの悪化、フランチャイズ過剰拡大などが家具業界を圧迫しており、一部の経営者や企業にとってはすでに“限界点”を迎えているという。

かつては成長産業とされた家具・内装業界が、現在では構造的転換を迫られるなかで、「栄光の時代の終焉」とも言える現象が静かに、しかし確実に進行している。

(中国経済新聞)