中国、育児補助制度を2025年から全国実施、3歳未満の子ども1人につき年間7.5万円を現金支給

2025/07/29 12:30

2025年1月1日より、中国は全国規模で新たな育児補助金制度を施行する。7月28日に発表された政府の実施方案によると、出生順位(第一子、第二子、第三子など)にかかわらず、3歳未満の乳幼児1人につき毎年3600元(約7万5千円相当)の現金補助が支給される。対象年齢に達するまで最大3年間支給される見込み。

補助金の申請は、父母のいずれかまたはその他の法定監護人が、乳幼児の戸籍所在地を管轄する窓口に対して行う。オンラインの「育児補助金情報管理システム」からの申請が基本となるが、オフライン申請も受け付ける。具体的な給付開始時期は、各地方政府が地域実情に応じて定める。

なお、2025年1月1日以前に生まれた3歳未満の乳幼児も対象に含まれ、月割りで補助金を受け取ることが可能となる。たとえば、2023年12月に生まれた子どもは、24か月分(計7200元)の補助を受けることができる。

国家衛生健康委員会の担当者は、「本制度は全国の育児世帯を対象に直接的な現金支援を行う重要な民生政策であり、子育てコストの軽減に貢献する」と述べ、制度導入により年間2000万世帯以上の乳幼児家庭が恩恵を受けると見込んでいる。

これまでにも、中国政府は出産・育児支援策として、個人所得税の特別控除や公共託児サービスの拡充などを進めてきたが、今回の現金補助制度はその中でも最大規模の全国統一政策となる。

国家発展改革委員会社会発展研究所の張本波研究員は、「国際的な実践経験から見ても、出産支援には包括的な対策が必要であり、現金補助はその中核を成す重要な要素である」と指摘する。

すでに中国国内では20以上の省・自治区・直轄市が独自に育児補助金を導入してきたが、今回の国家レベルでの実施により、制度のカバー範囲、支援の強度、政策の持続可能性が大幅に強化されることになる。とりわけ低所得層の家庭にとっては、より大きな支援効果が期待される。

ただし、年間2000万人以上への補助は国家財政にとっても大きな負担となる。財源は主に中央財政から拠出され、財政の持続可能性や地域間のバランスを考慮しつつ、「できる範囲で、無理のない形で」実行していくと政府関係者は説明している。

(中国経済新聞)