何立峰副総理、関西万博に合わせ訪日へ

2025/07/7 12:40

中国共産党中央政治局委員であり、国務院副総理を務める何立峰が、7月11日に大阪・関西万博で開催される「中国のナショナルデー」行事に合わせて訪日する方向で最終調整が進んでいる。複数の外交関係者が7日、明らかにした。

何立峰は中国経済政策の中枢を担う人物である。彼の訪日は、中国が日本との関係改善に向けた意志を演出しようとする狙いがあると見られている。読売新聞は、「米中対立の激化を背景に、中国が日本との関係強化を図る一環」とし、「米国との関税交渉に苦戦する日本に対して秋波を送る可能性がある」と報じた。

訪日期間中、何は日本の経済団体との面会も予定しており、政界・財界を巻き込んだハイレベルな対話の場が設けられる見通しである。とりわけ注目されるのが、自民党幹事長であり、日中友好議員連盟会長でもある森山裕との会談だ。

この会談では、近年注目を集めているパンダの貸与についても話し合われる見込みである。和歌山県で飼育されていた4頭のジャイアントパンダは6月末に中国へ返還され、現在日本国内に残るのは上野動物園の2頭のみ。これらの貸与期限も2026年2月で終了を迎えるため、日本側では新たなパンダ貸与に向けた働きかけが強まっている。茨城県や仙台市など複数の自治体が誘致に名乗りを上げる中、森山は「習主席に近い」何副総理に対して、直接的な要請を行うとされる。

また、会談では、日本産牛肉の対中輸出解禁に関しても議論が行われる見通しだ。2001年に発生したBSE(牛海綿状脳症)の影響により、中国は日本産牛肉の輸入を長年にわたり規制してきた。しかし近年、日中双方は輸出再開に向けた協定の発効を調整しており、外務省の担当局長が4日、中国側と実務協議を行っている。何の訪日により、この協議が加速する可能性もある。

何立峰は2023年3月に副総理に任命された後、中国政府を代表して西側諸国の政治家や経済界との接触を繰り返してきた。米中貿易交渉では中国側首席代表を務め、海外企業関係者の間では「解決者」と呼ばれる存在である。米国主導の制裁体制にどう対処するか、という点で、中国体制と経済の「門番」としての役割も担っているとされる。

今回の訪日は、単なる万博参加にとどまらず、日中関係の現状と将来を占う上で、極めて象徴的な意味を持つ。米中の緊張が高まる中で、日本との対話チャンネルを維持しようとする中国の姿勢が透けて見える。一方で、日本側としても、中国との経済関係を維持・強化する一方、安全保障や技術管理などにおいては緊張を緩められない複雑な立場にある。

関西万博の舞台で繰り広げられる政治と外交の駆け引き。7月10日、大阪に降り立つ何立峰の一挙手一投足が、今後の日中関係にどのような影響を及ぼすのか、注目される。

(中国経済新聞)