乳酸菌飲料メーカーのヤクルトは、中国の上海にある工場を閉鎖すると発表した。12月6日に生産を停止しており、天津や江蘇省の無錫など中国国内の別の拠点に生産を移行するという。ヤクルト中国法人はこの目的について、「拠点を集約し、固定費を減らし、資源配分を改善する」と表明している。ただし中国全体の事業は今後も継続するといいう。また一方、ヤクルト本社は「上海益力多乳品」を解散し、全額出資子会社の「養楽多(中国)投資有限公司」が事業を受け継ぐと決定している。
ヤクルトは2002年に「益力多」という名前で、広州で中国事業をスタートさせ、2003年に「ヤクルト」として上海に進出し、2004年に中国主力拠点となる「上海益力多乳品」を設立した。その後約20年間で支店53か所と生産拠点6か所を設けており、その1つである上海工場は2006年に操業を開始し、2019年には見学者数50万人到達を祝う式典を開催した。2023年には無錫に現地第2工場を完成させ、中国の生産拠点が7か所となり、1日およそ1600万本という過去最大の生産体制が整った。
ヤクルトは中国で、「100億個の乳酸菌シロタ株が腸内環境を改善」というキャッチコピーを広めたことで、当初1日6万本だった販売数が2018年には750万本まで増えた。ところが、中国はこのところ乳酸菌飲料で競争が激しくなり、国内メーカーが続々と新商品を打ち出している。また消費者の健康意識も強まり、ヤクルトの健康メッセージを疑う声も上がっている。ヤクルトは低糖タイプやピーチ風味などの新品を出したが、漸落傾向を完全に食い止めるには至っていない。1日の販売量は2023年初めの時点で400万~500万本に減っていった。
ただしヤクルトは2023年、「今後も中国での事業体制を拡大し、引き続き市場を掘り下げ、販売環境をトータルチャネル化する」と表明した。常務執行役員である島田淳一国際事業本部長はこの当時、「2022年は中国で1日約626万本の売り上げを達成したが、この数は全人口の14億人よりずっと少なく、また60%の地域にしか配達していない。目標に向けて一歩一歩着実に頑張る」と話している。
(中国経済新聞)