中国自動車メーカー「雷丁汽車」(LEVDEO)の創業者が県委書記を告発、山東省も調査に参入

2023/01/17 09:07

山東省の自動車メーカー「雷丁汽車」(LEVDEO)の創業者である李国欣(Li Guoxin)氏が1月14日の18時、公式Wechatで、「濰坊(Weifang)市昌楽県委書記の王驍(Wang Xiao)氏から、業績をアピールするため生産額と販売額の水増しを迫られた」と名指しで告発した。

李氏によると、王書記は経済面の実績を上げて業績をアピールしようと、2022年3月から雷丁汽車など地元の大手企業に対して生産額や販売額の水増しを強要した。雷丁汽車は2022年の実績として生産額・販売額を67.28億元(約1286億円)と発表したが、実際には20.45億元(約390.8億円)であり、46.83億元(約895.0億円)上乗せしていたという。

この発表から約4時間後の1月14日22時19分、山東省濰坊市人民政府の新聞弁公室は公式ウェイボー「濰坊発布」で、「この実名告発を受け、山東省は省・市の関係部門からなる共同調査チームを発足し、事情調査のため昌楽県に派遣しており、法に基づき処理する」とのコメントを発表した。

公開情報によると、雷丁汽車は2008年の設立で、当初は主に低速の電動車を手掛け、2016年から2018年までの売上台数はいずれも中国最大となる15万台、21万台、28.7万台で、3年連続で業界トップの座を維持していた。

「老頭楽」(Laotoule)とも言われ、しばしば高齢者の生活の足として利用される低速電動車は、値段が安く利用が手軽で、手続きも簡単であることから、かなりの需要があった。しかし、2018年11月に交通運輸省など政府6部門が「低速電動車の管理強化に関する通達」を発表し、各地で新規の生産を禁止するなど取締り活動にあたるように指示した。

路線変更を余儀なくされた雷丁汽車は新エネ車に目を向け始め、手掛ける前の段階で「2023年に全社上場を果たし、2025 年に200万台以上を販売する」という壮大な目標を立てた。

しかしその道のりは楽ではなかった。新エネ車は技術的なハードルや投資額が予想よりはるかに高かったことが大きな理由である。開発や生産にコストがかかる上、原材料価格も上がり続けている。売上が伸びずコストが下がらない中、融資も間に合わずにたちまち資金繰りが苦しくなった。

2021年からディーラーの貸付返済が遅れているとも伝えられている雷丁汽車は、資金面や生産面でピンチに立たされ、苦しい事業転換となっている。

(中国経済新聞)