中国の検索大手、百度(Baidu)は8月20日、2025年第2四半期(4~6月)の決算を発表した。総収入は前年同期比4%減の327億1000万元(約7198億円)で、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のアナリスト予想(327億6000万元)をわずかに下回った。動画配信子会社の愛奇芸(iQiyi)を除いた百度核心事業の収入は2%減の262億5000万元だった。

百度の主力事業の収益力が大きく低下している。非米国会計基準(non-GAAP)に基づく百度核心事業の純利益は前年同期比34%減の47億9000万元。一方、米国会計基準(GAAP)では長期投資の簿価変動により純利益が35%増の73億8200万元と、両基準で大きく異なる結果となった。調整後EBITDA(税引前・利子・減価償却前利益)の利益率は24%で、前四半期比2ポイント、前年比8ポイント低下した。
収益力低下の主因は、利益率の高いオンライン広告事業の縮小だ。当四半期のオンライン広告収入は、核心事業収入の6割以上を占めるにもかかわらず、前年比15%減の162億元(約3564億円)。2024年第2四半期に初のマイナス成長を記録し、第4四半期には7%減、2025年第1四半期には6%減と、広告収入の低迷が続いている。背景には、景気低迷による広告需要の減少と、抖音(TikTok)や小紅書(RED)など短編動画プラットフォームの台頭による検索広告への影響がある。
百度の李彦宏董事長兼CEOは、AIの活用が検索事業の新たな成長軸となると強調。「当四半期、百度検索のコンテンツの50%がAI生成で、前四半期比15ポイント増。7月時点では64%の検索結果ページにAIコンテンツが含まれている」と説明した。広告主向けAIエージェント(智能体)の収入はオンライン広告の13%を占め、前四半期比4ポイント増。デジタルヒューマン関連の収入は前四半期比55%増で、全体の3%を占めた。
AI強化により、百度アプリのユーザーエンゲージメントも向上。6月末時点の月間アクティブユーザー(MAU)は7億3500万人(前年比5%増)、1日平均利用時間は4%増となった(3月時点のMAUは7億2400万人)。
百度はAIとクラウド事業への投資を加速し、収益構造の転換を急ぐ。智能雲事業は当四半期に14%増の収入を記録し、自動運転サービス「蘿蔔快跑(Apollo Go)」も国際展開を進めている。しかし、オンライン広告の低迷は短期的な業績圧力となっており、市場ではAIの商業化の成否が今後の成長を左右すると見られている。
決算発表後、百度の米国市場での株価は前日比0.44%安で取引を終えた。投資家は、AI戦略の長期的な可能性と広告事業の課題を注視している。
(中国経済新聞)