この日は、市の中心部やや東寄りにある大きな商業施設に足を運んだ。

- 「朝陽大悦城」、通称JOY CITY。
このデパートは私が北京在住中にオープンしたもの。当時の自宅の近くにあり、写真左側の地下1階部分に日系のスーパーがあったので、毎日のように利用していた。地下鉄の駅からほど近くて非常に便利であるが、目の前に大きな十字路があってバス路線も多く、付近は常に渋滞していた。しかし今はご覧のように大きな歩道橋が完成しており、流れもスムーズだった。
この建物は6階~8階がほぼ飲食店で占められ、その中には日本でおなじみの店もあった。

- 最近オープンした「スシロー」、中国名は“寿司郎”。
飲食店は以前に比べてかなり高級化しており、以前あったファストフード系の店はなくなっていた。そんな中、このスシローは値段も日本よりかなり高めであったが、順番待ちの列が随分長かった。
このほか日系のラーメン店やすき焼きの店もあり、昼食時とあって大変活況だった。なお「すき焼き」は中国語で、辞書には“牛肉火锅”などと書いてあるが、日本文化が浸透している今は音訳で “寿喜锅”と言った方がいい。

- アニメ「鬼滅の刃」のキャラクター。
8階の映画館にはこのような上映宣伝用の飾り物もあった。日本のエンタメは公開を控えるようにとの指針が出ている中だが、この映画は普通に上映されているようだ。。
この施設は地下1階で駅に直結している。このような構造は今でこそごく普通であるが、開業当初は北京ではあまり多くなかった。

- 地下鉄駅の構内にある手荷物検査場。
中国では地下鉄や長距離鉄道に乗車する際に、必ず手荷物検査・身体検査を受ける。北京の場合、私が生活し始めた2005年当初はなかったが、2008年夏季オリンピックの際に競技会場付近の駅で導入され、その後全線に拡大し、今はあらゆる駅の改札前に設置されている。
今回私は、このチェックで思わぬ発見をした。係員がチェックの対象である飲料を返した際に、“谢谢配合,慢走”(ご協力ありがとうございました。お気をつけて)などと言ったのである。永らく続いたコロナ禍の中、マスク非着用者は問答無用で乗車拒否、などと非常に厳格な(というより横柄な)検査を経験した私はこれを聞いて、嬉しいというより逆にずっこけてしまった。
前号で書いた通りに中国人も随分と礼儀正しくなったとも見えたが、その一方、電車やバスの中で子供に席を譲る人がめっきり減ってしまった。私はこの日も幼子を連れて歩いたが、中国は良くも悪くも日本に似てきたと強く感じたものである。
なおこの日、北京は初雪を観測した。

- 雪の積もった歩道橋(上)と、雪の舞うデパートの入口付近(下)。
中国では雪は吉祥の兆しであり、報道も雪による交通障害や転倒者の発生などより「喜ばしいもの」として伝えることが多い。なおこの日は雪について“蓝色预警”が発令されていた。おおよその目安であるが、“蓝色预警”=「情報」、“黄色预警”=「注意報」、“橙色预警”=「警報」“红色预警”=「特別警報」、といった感じである。(森 雅継)
***********************************
【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で千葉県に在住。
