中国通信機器大手中興通訊(ZTE)のA株・H株が12月11日、揃って大幅安となった。香港市場ではH株が一時8%を超える下落を記録し、深センA株も6%超の下げを見せた。
下落の背景にあるのは、米メディアが報じた「中興通訊が米国政府に対し、海外贈賄疑惑の解決のため10億米ドル超、場合によっては20億米ドル以上もの和解金を支払う可能性がある」との情報だ。
関係筋によると、米司法省(DOJ)は今年に入り、中興通訊が南米など複数の地域で米国の「海外腐敗行為防止法(FCPA)」に違反した疑いで調査を進めている。FCPAは、事業上の利益を得る目的で外国政府職員に対し金銭や価値あるものを供与することを禁じる法律である。
報道では、中興通訊と米当局が結ぶ和解合意には中国政府の承認が必要とされており、実際に支払いが実現するかどうかは不透明な情勢だ。中国駐ワシントン大使館の劉鵬宇報道官は「中興通訊をめぐる具体的な状況は承知していない」としたうえで、「中国は一貫して、海外で事業を行う中国企業に対し、現地法令法規を遵守し合法的に経営するよう求めている」との原則的なコメントを発表している。
中興通訊をめぐっては、2017~2018年にもイラン・北朝鮮への違法輸出問題で米国から巨額の制裁金と7年間の監視付き執行猶予処分を受けており、再び米当局の調査対象となる事態に、投資家のあいだで懸念が広がっている。
(中国経済新聞)
