中国の政界で異変 「宇宙工学」の出身者が相次ぎ高官に就任

2022/11/29 08:30

中国共産党中央は11月28日、西北工業大学航空機器製造学科の出身で国務院国有資産監督管理委員会(国資委員会)の郝鵬(Hao Peng)主任が、中央政治局委員の張国清(Zhang Guoqing)氏に代わって遼寧省委書記に就任したと発表した。中国はここ数年、宇宙工学出身の幹部が各省のトップとなるケースが相次いでいる。

郝鵬氏は1960年7月に陝西省鳳翔で生まれ、1982年に西北工業大学を卒業後、甘粛省蘭州にある中航工業の航空機器工場に17年間勤務し、工場長も務めた。2000年に40歳で蘭州市副市長となり、2003年にチベット自治区に異動して副主席、党委副書記を10年間務め、2013年に青海省の省長となった。

その後2016年12月に国資委員会党委書記に就任し、2019年5月に国資委員会主任となった。

中国の政界はここ数年、航空工学出身の幹部が出世コースを歩むようになっている。遼寧省で郝鵬氏の前任である張国清氏も、中国兵器工業集団の総経理を務めるなど軍事産業での経験が長く、天津市の市長を経て2020年8月に遼寧省委書記に就任し、2022年10月の共産党第20回大会で中央政治局委員に選ばれた。

この2人のほか、現中央政治局委員で新疆ウイグル自治区の党委書記である馬興瑞(Ma Xingrui)氏も、ハルビン工業大学航空動力学科の出身で工学博士であり、中国宇宙技術研究院の副院長、中国航天科技集団の総経理、国家宇宙局の局長を務めている。

また同じく中央政治局委員である浙江省委書記の袁家軍(Yuan Jiajun)氏は、航空宇宙部第五研究院宇宙航空機設計学科の出身で工学博士であり、宇宙船「神舟一号」の副総指揮、中国航天科技集団五院の院長および副総経理を務めている。

国務委員の王勇(Wang Yong)氏はハルビン工業大学大学院出身で、航天本社二三〇工場のトップ、中国航天機電(科工)集団の副総経理を務めている。

工業・情報化省の金壮竜(Jin Zhuanglong)氏は北京航空航天大学ミサイル設計学科出身で経済学博士であり、上海宇宙局の局長、中国商用飛機の会長を経験している。

湖南省委書記の張慶偉(Zhang Qingwei)氏は西北工業大学航空機設計学科出身の管理学博士で、中国航天科技集団の総経理、月探査プロジェクトチームのリーダー、中国商用飛機の会長を務めた。

四川省の省長である黄強(Huang Qiang)氏も、西北工業大学で航空自動制御学科を卒業し工学博士となり、中国第一航空機設計研究院の院長、上海航空機設計研究所の所長を務めた。

中国では、宇宙工学は軍需産業の一環であり、軍隊式に近い管理がなされる。幹部は勤務態度も真面目でリーダーシップもあり、学歴も高く、地方政府に赴任しても優秀な成績を残し、汚職問題も少ない。よって習近平主席に大変重宝されており、ここ数年は宇宙工学出身の幹部が相次ぎ政府要職に登用されている。

(中国経済新聞)