1990年代、「勉強しなくちゃ」という写真が、大勢の人の感動を呼んだ。
学問への願いを大きな目に込めて鉛筆を握っている、当時8歳の女の子。名前は「蘇明娟」(Su Mingjuan)という。
蘇さんは30年以上前、学費が払えず通学困難になった数多くの小学生の1人であり、安徽省のある粗末な教室で勉強している姿が中国青年報のカメラに収められた。これがきっかけで、日本人など多くの外国人が、貧しい子供たちを学校に通わせようと「希望小学校」の建設資金を差し出したのである。
蘇さんは何年にもわたって大勢の人に支えられ、安徽大学に合格し、卒業後は中国工商銀行の安徽支店に就職して、今は安徽省の共産主義青年団の副書記も務めている。
今は2児の母親となった蘇さん。「1991年に小学校に入ったけれど、校舍なんていうものではなく、古いお寺を改築したものだった。窓はあったけどガラスはなくて紙が貼ってあり、ぼろぼろで冬はとても寒かった。写真のおかげでのちに私の運命も変わったし、学校の運命も変わった」と言う。
「たくさんの人の思いやりの中で成長したから、世の中に恩返しする」と言うのである。
蘇さんは中学に入学後、義援金の一部を貧困地域の小学生に送った。大学は働きながら学び、奨学金を貧困学生に送った。社会人になって初任給を希望小学校の建設資金として寄付し、その後も每年必ず寄付金を送っている。
2018年6月に、貯めていた3万元を元手に「蘇明娟助学基金」を設立した。今は500万元(約1億円)以上が集まり、希望小学校5校の建設を支えたうえ、大学の貧困新入生80人を支援している。
このほど行われた中国共産党第20回全国代表大会に蘇さんは、「希望工程に支えられた子供」の代表として出席した。「必ず思いやりを伝えていく。貧しい子供たちが学校に通って、勉強で運命を変えさせてあげたい」と述べている。
(中国経済新聞)