ファーストリテイリング傘下のユニクロは、2024年9月から2025年8月期の上半期において、中国本土での売上が前年同期比で4%減少し、営業利益も11%落ち込んだ。この厳しい業績を受け、創業者であり会長兼社長を務める柳井正氏は4月の記者会見で、「中国ユニクロの課題は、本質的にはすべての店舗が同じように動く『画一的運営』にある」と語った。
柳井氏は、「中国は広大で地域差が大きいにもかかわらず、現地の顧客のニーズや嗜好に応じた商品展開や売り場づくりができていない」とし、「それぞれの店舗が“地域に根差した店”になれていない」と厳しく指摘した。
その解決策として打ち出されたのが「個店経営戦略」だ。つまり、すべての店舗が自ら考え、自ら企画し、地域の顧客に合ったマーケティングと商品展開を行うよう転換を促す方針である。
実際に、日本国内でもユニクロは過去に同様の課題に直面していた。全国一律の運営スタイルが限界を迎えた際、店舗ごとに裁量を持たせる「個店主義」への転換によって業績を回復させた経験がある。この「日本モデル」を中国で再現できるかが、今後の鍵となる。
業界関係者の間では、「ユニクロはこれまで“中国でもどこでも同じ店”を良しとしてきたが、今後は“中国ならでは、地域ごとのユニクロ”への転換が求められる」との声が上がっている。中国市場はすでに成熟期に入り、単なる低価格・高品質だけでは支持を得ることが難しくなってきている。
柳井氏は会見の中で、「店舗単位で“考える力”を取り戻し、現場主導の改善を加速させることが、変化の激しい中国市場で勝ち抜く唯一の道だ」と強調した。
今後のユニクロ中国が、個店経営という新たなアプローチによって再び成長軌道に乗るのか、日本市場での成功体験が再び通用するのか、その成否が注目される。
(中国経済新聞)