中国、成都で小米SU7が炎上 救助者が“拳と蹴り”でドアを開けようとするも開かず

2025/10/13 18:42

10月13日未明、中国・四川省成都市の天府大道で、新エネルギー車(EV)による重大事故が発生した。走行中の小米(シャオミ)SU7 Ultraとみられる車両が衝突後に炎上し、現場では複数の通行人がドアを開けようと懸命に救助を試みたが、車両のドアは開かず、火の勢いが増していった。

ネット上に拡散されたドライブレコーダー映像によると、事故当時の道路は比較的空いており、問題の車両は時速104キロで走行する車を追い越した直後に衝突し、車体前方から火が上がった。救助に駆け付けた4人がドアや窓を「拳で叩き、足で蹴る」姿も映っているが、ドアロックは解除されなかった。

現時点で、成都市公安交通管理局および小米自動車は公式なコメントを発表していない。第一財経(Yicai)によると、同紙の記者が現地警察署に複数回問い合わせたものの、返答は得られなかったという。

公開された焼損後の写真では、車体はほぼ全焼しており、車両は最高級仕様の「SU7 Ultra」(価格52万9,900元=約1,150万円)と見られている。

近年、電気自動車では電子式ドアロックや格納式(隠し式)ドアハンドルの採用が一般的となっている。しかし、衝突時に高電圧システムが自動的に遮断されると電子ロックが作動せず、ドアが開かないケースが発生することがある。ドライバーが機械式の補助解錠装置を作動させないまま車体が変形した場合、外部からの救助も困難になる。

こうした“隠しハンドル”の安全性をめぐる議論は以前から続いている。昨年には山西省運城市で「問界M7」が高速道路で追突後、ハンドルが開かず救助が遅れた事例が報告されたほか、今年発生した別の小米SU7の事故でも同様の指摘がなされた。

このような背景を受け、中国当局は9月24日に「自動車ドアハンドル安全技術要件(案)」を公表。新技術や新たな安全課題に対応するため、事故後のドア操作性や救助時の手の可動空間などについて新たな基準を盛り込み、強制規格として制定する方針を示した。

今回の成都での事故は、EV時代における「安全性とデザイン性の両立」という課題を改めて突きつける出来事となった。

(中国経済新聞)