11月26日(現地時間)、米通商代表部(USTR)は、中国の技術移転強要や知的財産権侵害をめぐる301条調査に基づく関税の除外措置を、2026年11月10日まで延長すると発表した。これらの措置は元々、2025年11月29日に失効予定だった。米中貿易摩擦の継続的な緊張の中で、この延長は両国間の最近の合意を反映した「一時的な緩和」として注目を集めている。
この決定の基盤は、2018年にトランプ政権が開始した「第301条調査」にある。中国の「技術移転の強要」「知的財産の侵害」「イノベーション阻害」といった行為を問題視し、総額約3,700億ドル相当の中国製品に最大25%の追加関税を課したのが始まりだ。以降、バイデン政権下でもこの関税は維持され、米中間の貿易不均衡是正の象徴として機能してきた。
しかし、2025年に入り、状況に変化が生じている。11月1日、習近平国家主席とトランプ大統領の会談後、ホワイトハウスが公表したファクトシートでは、両国が「経済・貿易関係の合意」に達したとされる。具体的に、米側はフェンタニル流入抑制のための関税を10%ポイント引き下げ、相互報復関税の強化を1年間凍結する一方、中国側は米国製品の市場アクセス拡大を約束した。この文脈で、USTRは「大統領の指示に基づき、公衆からの意見も考慮して」178件の除外措置を延長したと説明している。
対象となる除外措置は、主に医療機器、電子部品、化学製品などの産業資材で、米国内のサプライチェーンに不可欠なものが多い。2025年8月には一部の措置が11月29日まで延長されており、今回の決定はそのさらなる延命だ。USTRの声明によると、これにより米企業は少なくとも1年間、追加関税の負担から解放され、輸入コストの安定化が期待される。
この延長の最大の受益者は、米国内の輸入業者と製造業だ。例えば、半導体や医療機器の分野では、中国からの輸入依存度が高い米企業が値上げ圧力から逃れられる。ロイター通信の報道では、「この措置は、米中貿易の『一時休戦』を象徴する」と指摘されており、インフレ抑制に寄与する可能性が高い。一方で、除外対象外の製品(例:消費者向け電子機器や鉄鋼製品)には依然として高関税が適用され、米中摩擦の根本解決には程遠い状況だ。
中国側への影響も無視できない。米政府は、この延長を「中国の構造改革進展への報酬」と位置づけているが、実際には米国内の公衆意見(企業からの延長要請)が後押しした形だ。チャイナ・ブリーフィングの分析によると、中国はこれに応じて、米国からの輸入品に対する市場ベースの除外プロセスを2026年12月31日まで延長する方針を検討中だ。これにより、両国間の貿易額は一時的に回復するかもしれないが、長期的な信頼回復にはさらなる交渉が必要だろう。
また、国際的な波及効果も大きい。欧州連合(EU)や日本などの同盟国は、米中貿易の安定化を歓迎する一方で、自国製品の競争力低下を懸念している。日本企業は特に、電子部品のサプライチェーンで中国依存が強いため、この延長が間接的に利益をもたらす可能性がある。一方で、米中対立の再燃リスクは残り、2026年11月以降の措置継続が新たな焦点となる。
(中国経済新聞)
