中国中央テレビの放送によると、11月22日午前10時頃、冬の陽光が差し込む湖北省黄岡市と鄂州市の長江水域で、巨大な鋼桁の最後の一節が正確に吊り上げられ、所定の位置に設置された。これにより、湖北交通投資グループが出資し、中国交通建設第二航務工程局と中国鉄道大橋局が施工した「世界最大スパンの四本主ケーブル吊橋」である燕磯(えんじ)長江大橋が無事に合龍を迎えた。長江流域にまた新たなランドマークが誕生したことになる。

開通後は、黄岡市中心部から鄂州花湖国際空港までの移動時間がわずか15分に短縮され、地域交通の利便性が大幅に向上すると期待されている。
■ 世界最大スパン「1860メートル」の四本主ケーブル吊橋
燕磯長江大橋は、黄岡市と鄂州市を一跨ぎで結ぶ構造を採用しており、主スパンは1860メートルに達する。橋全体の長さは約26キロメートル。上層には設計速度時速100キロの六車線高速道路、下層には設計速度時速80キロの四車線都市高速道路が通る二層構造となっている。

南岸側の主塔は花湖空港の航空制限に配慮し、高さ184メートルに抑えられている。一方で、長江を航行する船舶の要求も満たす必要があり、主塔と主ケーブルの高さ差は極めて小さく、ケーブルのたわみ率を示す垂度比は1対15という、千メートル級吊橋では前例のない厳しい条件となった。
この課題を克服するため、建設チームは世界で初めて、垂度の異なる四本主ケーブルによる二層構造の吊橋方式を開発した。同じ側に配置される主ケーブルでも高さ・長さ・垂れ具合が異なる設計とすることで、荷重を分散し、橋の安定性を大幅に向上させた。また、ケーブルを支える鞍部や主ケーブル自体の構造も最適化し、より合理的な力の伝達を実現している。
■ 中型航空母艦に匹敵する重量規模の鋼桁
主スパンには計69基の鋼桁が使用され、標準的な桁は長さ27メートル、幅41メートル、桁高さ9.5メートル、重量は最大で約830トンに達する。橋全体の鋼桁総重量は約5万6000トンで、これは満載状態の中型航空母艦に相当する規模である。

この超重量級の桁を吊り上げるため、橋には1436本の吊り索が設置されている。また、国内外の橋梁建設で初めて、全てを溶接構造とした軽量・高強度の索具(ケーブルクランプ)544セットが大規模に採用された。これにより軽量化と標準化が実現し、世界最高水準のケーブルクランプ技術を示す成果となった。
燕磯長江大橋は、最先端の設計思想と革新的な技術によって完成した巨大インフラであり、長江に架かる新たな大動脈として、地域経済を力強く支える役割を担うことが期待されている。
(中国経済新聞)
