CES 2026、中国18社が示す消費者向けAIロボットの新潮流

2026/01/9 13:15

国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES 2026)の会場で、AIはもはや「機能を提供する技術」にとどまらず、人の日常に寄り添う存在へと静かに姿を変えつつある。

会話相手となり、眠りを誘い、感情に寄り添い、時には楽しませてくれる――。

「電子ペット」「デスクトップの相棒」「空を舞う精霊」といった形で、AIは生活の中に溶け込み始めている。

身体性を備えた生体模倣ペット、感情に寄り添うコミュニケーションロボット、人格を育成できる小型ロボットなど、中国のスタートアップ企業を中心とした18社が、CES 2026でAIによる陪伴・教育ロボット分野の最前線を披露した。

その背景には、AIネイティブな対話設計、多モーダル認識、人格モデル構築といった技術的挑戦がある。

1.デスクトップの癒やしから教育支援まで

多彩な「日常型ロボット」が一斉に登場

● Loona DeskMate——Canbot Technology(可以科技)

Loona DeskMateは、オフィスデスクの中心に据えることを想定した新発想のAI陪伴デバイスだ。

本体にはディスプレイ、カメラ、マイクを搭載せず、iPhoneをワイヤレス充電スタンドに装着するとAIアプリが自動起動する仕組みを採用。

感情表現を重視した対話モデルにより自然な会話が可能で、最大180Wの急速充電に対応するデスクトップ電源としての実用性も兼ね備えている。

● Robie(糯宝)——NuoBao Robotics(糯宝科技)

耳を備え、まばたきをする愛らしいデスクトップ型ペットロボット。

突発的な動きに反応して瞳孔が収縮し、揺らされるとめまいを感じたような表情を見せるなど、繊細な生体表現が特徴だ。

顔認識と感情認識に対応し、音声認証と顔認証を組み合わせた二重識別により、騒がしい環境でも対話相手を正確に判別できる。

● Yonbo X1——X-Origin Technology(玄源科技)

家庭向けの成長型ロボットで、12自由度の可動構造、音声対話、ゲーム、学習支援機能を備える。最大の特長は「人格システム」にあり、保護者と子どもがロボットの性格や役割を設定できる。年齢に応じて学習コンテンツを動的に調整し、厳格な保護者向け管理機能も実装している。

● Enabot——Enabot Technology(賦之科技)

人とペットの双方に寄り添うAIロボット型スマートアシスタント。

遠隔操作、猫用レーザー遊び、ビデオ通話、外出時の見守りや防犯アラートなどを統合している。

6種類のキャラクター切り替えと20以上の方言・話し方に対応する高度な対話AIが特徴だ。

● AiMe——TCL(TCL科技)

移動可能な家庭用AIハブ。表情豊かなカートゥーン風ロボット本体が感情的な対話を担い、まばたきやジェスチャーで気持ちを表現する。ローラースケート型のベースが移動と充電を担当し、夜間や不在時には巡回や見守りも行う。

● Luka 絵本読み聞かせロボット——Ling Universe(灵宇宙)

7万冊以上の中英両言語の絵本を自動認識し、読み聞かせを行う。

日英バイリンガル対応で、複数の読み上げモードを備え、幼児教育に特化したAI読書パートナーとして高い完成度を示した。

2.生体模倣ペットから空飛ぶ精霊まで「感情」と「人格」を競う新潮流

● Ollo / OlloNi——Hollysys Communications(会畅通讯)

サイバーペット「Ollobot」シリーズ。

Olloは丸みを帯びた円錐形で、静かな陪伴を重視した設計。OlloNiは表情表示用ディスプレイと伸縮式ネックを備え、より豊かな感情表現が可能となっている。

ユーザーや周囲の環境を継続的に学習し、行動パターンを更新する。

● BOOBOO——U-Limit Infinity(宇灵无限)

室内向けの飛行型感情陪伴ロボット。

生体を模した羽ばたき構造により空中で静止飛行が可能で、光・動作・音声を通じて感情的なつながりを築く。ユーザーの感情をリアルタイムで認識し、距離を調整する動きが特徴。NASA出身の2000年代生まれの創業者、張宇諾氏が会場で注目を集めた。

● Cocomo / Inu——Ludens Intelligence(盧登斯智能)

Cocomoは床を自律移動するペット型ロボットで、表面温度は約37度、頻繁な接触時には39度まで上昇する。言葉ではなく、非言語的な「ゴロゴロ音」で感情を伝える設計だ。

Inuはデスクトップ型の「宇宙犬」をイメージしたロボットで、音や触覚に反応し、尻尾や目の動きで感情を表現する。

● 話話糖(Huahuatan)——Zero Motion Future(零動未来)

重さ89グラムの携帯型AIペット。体温を持ち、記憶機能を備え、空腹や甘えといった状態を示す。「触れて友達になる」機能を搭載し、旅行中も常に持ち歩ける。子ども向けから全年齢層への展開を計画している。

● Eggi——Alpha Egg(阿尔法蛋)

運動と育成を組み合わせたAIペット。体を動かすことでポイントを獲得し、能力を解放できる。感情や欲求を持ち、「反抗期」を迎えることもあるなど、デジタル生命の成長体験を重視している。

● bibo——RayMoo Technology(镭萌科技)

トレンドトイ型のAI生命体。顔・声・動作を認識し、感情AIによってユーザーの状態を判断し、能動的に交流する。創業者の王寿畅氏は、淘宝の公式キャラクター「淘小宝」のデザインにも深く関わった人物だ。

● W1——Origin Point Robotics(元点智能)

ディズニー公認IPを取得した「AI版ウォーリー」。屋内外の使用に対応し、転倒検知、荷物運搬、音楽再生、キャンプ撮影などを行う。感情表現を備えた「アウトドアの相棒」として位置付けられている。

● Tuya AI Pet Robot——Tuya Smart(涂鸦智能)

表情表現が豊かなAIペットロボットを展示。スマートホームとの連携を視野に入れた設計が特徴だ。

そのほかの出展企業

ASUS(華碩):Zenbo Qrobot
Robopoet(珞博智能):Fuzozo
Lingxi AI(灵犀智能):AiMOON 星座AI守護精霊
Elephant Robotics(大象机器人):陪伴型ぬいぐるみロボット

結び:

「陪伴ロボット」はAI実装の最前線へ

手のひらサイズの話話糖、空を舞うBOOBOO、学習を支援するYonbo X1――。CES 2026に登場した中国発のAI陪伴ロボットは、実験段階を越え、実生活の場へと踏み出し始めた。

感じ取り、表現し、記憶し、共感する。こうした能力を通じて、人とAIの関係はより自然で温かみのあるものへと進化している。

教育、ケア、情緒的支援といった分野において、日常に溶け込む小型ロボットは、AIがより多くの人に届くための重要な入口となりつつある。

(中国経済新聞)