11月24日、グリー電器(証券コード:000651.SZ)は2025年第2回臨時株主総会を珠海で開催した。総会では、同社の経営陣が製品戦略、販売チャネル改革、配当・自社株買い、海外展開など多岐にわたる質問に回答した。
株主総会にて、グリー電器は「2025年中期利益分配案」を提示し、議案は株主による賛成率99.8959%で可決されました。
具体的には、分配対象株本数55.85億株に対して、10株あたり10元(税引き前)を現金で配当、総額で 55.85億元(約1,117億円) を支払うというものです。この高い賛成率(中小株主の同意率も99.7264%)は、株主からの期待と支持が依然として強いことを示しています。
この配当案の背景として、同社はこれまで「高配当」を株主還元の一つの売りにしてきた企業であり、今回もその姿勢を維持しています。

会議で明らかになった課題と方針
社長に4月就任の张伟 氏を中心に、各事業の執行責任者が質疑応答にあたりました。会長の 董明珠 氏は株主交流の最後に総括発言を行い、以下のように述べています。
「今年は非常に大きな挑戦の年だ」と述べ、同社は中国国内の空調市場における価格競争、家電事業の多角化による成長圧力、ブランドイメージ刷新の必要性など、複数の課題を挙げている。
家庭向け事業では、2025年を通じて続く国内空調市場の価格競争が業績に影響していることを認めつつ、冷蔵庫・洗濯機・浄水機といった非空調製品を新たな成長の柱として位置づけている。
また、来年1月1日から「空・冷蔵・洗」の全て10年無料修理保証を実施予定としています。
海外展開・B端事業では、新興市場(アフリカ・ラテン米州など)で自主ブランドの割合が80%近くに達し、今後これを大きな突破口とする方針です。
チャンネル改革については、従来の多層級チャネル構造を「フラット化」し、消費者向けディーラーが本社と直接接点をもつ形に変革しており、現在3000店を出店済みの「董明珠健康家」についても、全国1万店を視野に展開中とのことです。
配当を伴う一方で利益は減速
直近の業績では、2025年前三四半期の売上・純利益ともに前年同期比で低下しています。
このような中で、配当を維持・強化して株主への還元姿勢を示す一方、成長のドライバーをいかに回復させるかが、今後の鍵となりそうです。
今回の株主総会および配当案は、次のような意味をもっています。
株主還元重視:減益局面のなかでも、配当・自社株買いにより株主に対して明確なメッセージを送っています。
変革フェーズの本格化:国内市場の成熟・価格競争の激化を背景に、非空調品・海外・B端という新たな成長軸に舵を切っており、株主向けに「新チーム」「新体制」の遂行力をアピールしています。
リスクの明示:董明珠氏が「チャレンジが大きい」と率直に語ったことは、成長不透明性を含めたリスクも含めて株主に対して説明責任を果たす姿勢と言えます。
ただし、留意すべき点もあります。配当額は大きく株主還元としては好感できますが、成長投資とのバランスという観点では慎重な見る向きもありましょう。また、チャネル改革や海外展開が期待どおりの成果をあげられるかも今後の焦点です。
(中国経済新聞)
