中国初の民間資本参画原発、建設が本格化――浙江・三澳原発3号機が主体工事入り

2025/11/21 11:00

中国核電力大手の中国広核集団は19日、浙江省で建設が進む「三澳原子力発電所」3号機の核島で、初回のコンクリート打設(核島の“初打ち”)を開始したと発表した。これにより、3号機の主体となる建屋の工事が正式に始まったことになる。

三澳原発は、中国で初めて民間資本が出資する原子力発電プロジェクトとして位置づけられている。現在、建設全体は順調に進んでおり、1号機は燃料装荷前の核安全検査をすでに終え、燃料装荷の準備段階に入った。2号機は、原子炉設備の総合性能を確認する「熱試験」の準備中で、システム調整試験や設備の取り付け作業が続いている。

今回工事に入った3号機は、2024年8月に国家の建設許可を取得した。中国が独自開発した第3世代原発技術「華龍(フアロン)1号」を採用し、運転開始後の年間発電量は約100億キロワット時に達する見込みだ。これは、約100万人の年間の生活・生産に必要な電力をまかなえる規模に相当する。

三澳原発を運営する浙江蒼南原子力公司の黄維徳(こう・いてつ)副総経理によると、今回のコンクリート打設量は約8,820立方メートル(鉄筋分を除く)で、作業は約57時間にわたる見込みだ。プロジェクトチームは設計の見直しや施工手順の改善に取り組み、複数の先端技術・工法を取り入れている。

その一つが「モジュール式の擁壁(ようへき)」だ。原子炉建屋(核島)周辺は作業スペースが限られるため、取り外しが可能なプレハブ式の擁壁を採用した。これは「華龍1号」シリーズの原発建設で初めて導入される工法だ。擁壁の全長は約62メートル。モジュール化と再利用設計により、狭い敷地を効率的に使えるようになり、従来の現場打設方式に比べて約80万元(約1,600万円)のコスト削減、さらに工期を約10日短縮する効果があったという。

民間資本が参画する新しい形式のもと、中国の最新型原発建設は着実に進んでおり、「華龍1号」技術の実用化拡大とともに、エネルギー供給体制の強化に向けた動きが加速している。

(中国経済新聞)