中国の人気俳優で歌手の于朦胧(ユ・モンロン)さんが、9月11日に北京市内で転落死したことが明らかになった。享年37。警察当局は調査の結果、他殺の可能性を否定している。
報道によると、于さんは10日夜、友人宅で数人と会食。午前2時頃に自室へ戻り、施錠して就寝した。その後、午前6時頃に友人らが解散しようとした際、姿が見えず、建物の外で遺体が発見されたという。

この知らせは11日未明からSNS「微博」(WEIBO)で拡散し、多くのファンが「デマであってほしい」と願った。しかし約8時間後、本人の所属事務所が訃報を発表。「私たちが深く愛した朦朧は、2025年9月11日、転落により亡くなりました。警察の調査で刑事事件性は排除されました。心よりご冥福をお祈りするとともに、残された者が強く生きられますように」とコメントした。
オーディション番組からスターへ。于朦胧さんは2007年、オーディション番組『我型我秀』に出場し、西安地区の16強入り。2010年には『快楽男声』に参加し、「快楽天団」候補に選ばれた。2013年にも同番組に再挑戦し、全国総決勝で第10位に輝いた。
俳優としては2015年のウェブドラマ『太子妃昇職記』(英語タイトル: Go Princess Go)でブレイク。1日の再生回数が2億回を突破し、累計26億回に達する大ヒットとなり、一気に知名度を高めた。同年、初のソロ音楽アルバム『玩具』を発表し、歌手活動も継続していた。
2017年にはドラマ『三生三世十里桃花』(英語タイトル: Eternal Love/“Three Lives, Three Worlds, Ten Miles of Peach Blossoms”)で「四海八荒第一美男」白真を演じ、人気を決定づけた。さらに『新白娘子传奇』(英語タイトル: The Legend of White Snake/日本語仮訳「白蛇伝説」)などに出演し、時代劇やファンタジー作品で幅広く活躍した。昨年はドラマ『永夜星河』なども手がけていた。

一方で、業界内では「一時期、約3年間にわたり表舞台から姿を消した」との噂もあった。理由については「女性投資家の要求を断ったため」との憶測や、「所属事務所・上海天娛のリソース配分に問題があった」との声があり、真相は定かではない。2023年に復帰作『一伞烟雨』で再びカメラの前に立ち、精力的に活動を再開した矢先の悲報となった。
中国芸能界で長年にわたり多くのファンに愛されてきた于朦胧さん。SNSには「信じられない」「青春の思い出が消えた」と追悼の言葉が相次いでいる。
(中国経済新聞)