ポップマートが提訴、3Dプリンター業界に波紋

2026/03/2 11:30

中国の人気IP運営企業である北京ポップマート文化創意有限公司(Pop Mart International Group Limited、以下ポップマート)が、3Dプリンターメーカーの深圳拓竹科技有限公司(Bambu Lab、以下拓竹科技)を提訴したことが明らかになった。

報道によると、被告には拓竹科技のほか、深圳創客世界科技有限公司(Shenzhen MakerWorld Technology Co., Ltd.)、上海輪廓科技有限公司(Shanghai Lunkuo Technology Co., Ltd.)が含まれる。訴因は著作権の帰属および侵害をめぐる紛争で、4月2日に開廷予定だという。

人気IP「ラブブ」モデルを削除

今回の紛争は、拓竹科技が運営する3Dモデル共有コミュニティ上に、ポップマートの人気キャラクター「ラブブ(Labubu)」と同型の3Dモデルデータが掲載・配布されていたことが発端とみられる。

報道後、同コミュニティで「ラブブ」を検索すると、関連する3Dモデルはすべて削除されていることが確認された。拓竹科技は本件について現時点で公式なコメントを発表していない。

近年、小紅書(RED)などのSNSでは、3Dプリンターを用いて人気キャラクターを自作し、「ラブブを自由に作れる」といった趣旨の投稿も見られる。こうした行為は権利者の利益を損なう可能性がある。一方で、ネット上では「実際に販売して利益を得ている業者を直接訴えるべきだ」との意見も出ている。

争点は「プラットフォーム責任」

業界関係者によれば、本件の焦点は単なるユーザーの私的な出力行為ではなく、プラットフォーム側の責任にあるとみられる。すなわち、拓竹科技が運営する3Dモデル共有サイト上に、権利者の許諾を得ていないIP関連データがダウンロード可能な状態で公開されていた点が問題視されている。

著作権法上は、複製権、公衆送信権、頒布権などの侵害が争点となる可能性がある。もしプラットフォーム側が侵害の事実を「知っていた、または知り得た」にもかかわらず、適切な削除措置を講じなかったと認定されれば、幇助侵害や共同侵害の責任を問われるおそれがある。その場合、コンテンツの削除、サービス停止、損害賠償、影響の除去などの民事責任を負う可能性がある。

相次ぐ著作権訴訟と業界の課題

拓竹科技が著作権紛争に巻き込まれるのは今回が初めてではない。2025年末には、中国の人気アニメ作品『羅小黑戦記』の権利者から、情報ネットワークにおける送信権侵害を理由に提訴され、同年12月25日に初回審理が行われている。

拓竹科技は2020年に深圳で設立され、2022年に初の製品を発売。短期間で世界有数のコンシューマー向け3Dプリンターメーカーへと成長し、売上高は100億元規模に達したとされる。現在は米国、日本、ドイツ、英国、シンガポールなどに拠点を設け、グローバル展開を進めている。

同社はスライスソフト「Bambu Studio」やモバイルアプリ「Bambu Handy」、さらに3Dモデル共有プラットフォーム「MakerWorld」や創作支援ツール「MakerLab」などを展開し、初心者でも利用しやすい環境を整備してきた。

3Dプリンター業界では、「ハードウェアが性能の上限を押し上げ、ソフトウェアとコミュニティが体験の質を底上げする」というビジネスモデルが主流になりつつある。拓竹科技の急成長も、こうした“ハードウェア革新+エコシステム運営”戦略によるところが大きい。

しかし、エコシステムが拡大するほど、知的財産権の管理責任も重くなる。今回の訴訟は、急成長する3Dプリンター業界に対し、技術革新と著作権保護の両立という課題を改めて突きつけるものとなっている。

(中国経済新聞)