中国、工場見学型観光を本格推進 7部門が産業観光振興策を発表

2026/05/30 13:05

中国で産業文化の継承と産業観光の発展を促進する取り組みが加速している。中国文化観光部、中央宣伝部、工業・情報化部、教育部、国務院国有資産監督管理委員会、国家文物局、全国総工会の7部門はこのほど、共同で「工業文化の発揚、工業遺産の保護、産業観光の発展に関する通知」(以下、「通知」)を発表した。

通知では、工業遺産の保護水準向上、工業文化の価値発掘と発信、産業観光商品の充実、サービス品質の向上など8つの重点任務を明確に打ち出し、文化・観光・工業の融合発展をさらに推進するとともに、文化・観光関連商品の供給拡大を図る方針を示した。

産業観光商品の充実を推進——通知は、工業遺産を活用した観光の積極的な発展を求めている。創意工夫を凝らしたデザイン導入や新たな業態の導入、施設の改修などを通じて工業遺跡の有効活用を進め、産業観光における新たな観光シーンやビジネスモデルの創出を促す。

特に「工場見学」の発展を重点施策として位置付けた。航空宇宙、造船、自動車、ロボットなどの装備製造業に加え、繊維・アパレル、工芸美術、食品加工などの消費財産業、さらには電子商取引(EC)や物流分野の企業に対し、安全管理や機密保持を前提として、生産工程の見学、模擬操作、ものづくり体験、オーダーメード製品の体験などを取り入れた観光プログラムの開発を奨励し、特色ある「観光工場」の整備を後押しする。

また、産業観光のデジタル化も推進する。通知は、衛星測位システム「北斗」、人工知能(AI)、超高精細映像、仮想現実(VR)、自動運転などの先端技術を活用し、没入感のあるスマートな産業観光体験の創出を支援するとしている。

さらに、産業観光施設においてテーマ型商業施設や没入型体験プログラム、特色あるマーケットなどの整備を支援し、「産業観光+」の新たな消費シーンの形成を目指す。

サービス品質の向上を図る——通知は、ガイドや解説員の専門性向上と受け入れ体制の強化を求めるとともに、産業観光施設の観光対応型への改修を推進する方針を示した。

条件を備えた企業に対しては、見学ルートや見学スペースを合理的に整備し、実際の生産現場の見学や実技体験、デジタルシミュレーションなど多様な見学内容を充実させるよう奨励している。

また、地域の実情に応じて案内表示、多言語対応、文化関連商品の販売、飲食・衛生施設、駐車場やEV充電設備などの関連施設を整備するほか、交通結節点や観光専用バス、駐車場などのサービス体制の充実も進める。

訪日外国人観光客に相当するインバウンド需要への対応として、多言語ガイドサービスや出国時税還付(免税)サービスの整備も支援対象に含まれた。

研修・教育機能の活用も重視——通知は、現代工場や工業遺産、工業博物館、産業展示館などを活用した特色ある研修旅行・体験学習プログラムの開発を推進する方針も示した。

旅行会社やオンライン旅行プラットフォームには、産業をテーマとした研修旅行商品の開発を奨励し、産業科学の普及や技能体験、文化継承などを学習内容に組み込むよう求めている。

さらに、学校教育課程に組み込まれた校外学習や実践教育活動への活用を支援するとともに、労働組合が実施する春季・秋季のレクリエーション活動に産業観光を取り入れることも奨励している。

中国政府は今回の通知を通じて、産業文化の継承と工業遺産の保護を進めながら、観光需要の拡大と産業振興を結び付ける新たな成長分野として産業観光の発展を後押しする考えだ。

(中国経済新聞)