中国の高速鉄道(高鉄)の駅で、インスタントラーメンの販売および食用を停止する措置が、多くの乗客の不満を引き起こしている。鉄道会社が推進する「脱インスタントラーメン化」は、表面上は乗客の旅行環境やサービス品質の向上を目的としている。しかし、一部の乗客は、これが鉄道会社が高価な弁当の購入を強制するための策略だと考えている。
中国鉄路上海局集団有限公司は、この措置について以下のように説明している。国鉄集団の『鉄道旅客輸送サービス品質規範』に基づき、インスタントラーメンは列車内の環境衛生に重大な影響を与える可能性がある食品に該当する。そのため、高鉄のすべての駅ではインスタントラーメンの販売を停止しているが、乗客が自分で持ち込むことは可能だとしている。

8月14日、広州東駅の待合室にある店舗では、すでにインスタントラーメンの販売が停止されていた。白雲駅でも同様に、駅内の店舗でインスタントラーメンは販売されていない。
この措置に対し、ネット上では賛否両論が巻き起こっている。支持する意見としては、「車内でインスタントラーメンを食べると匂いが強く、安全上の懸念もある。特に夏の繁忙期には子供の乗客が多く、衝突による火傷のリスクがある」との声がある。一方で、反対する意見では、「電車とインスタントラーメンは定番の組み合わせ。販売停止に加えて湯の提供もないとなると、経済的で便利な選択肢が奪われる。これは乗客の権利や体験を無視するもので、鉄道サービスの本来の目的に反する」との批判が上がっている。
高鉄の弁当は40~50元(約800~1000円)と高額で、噂される「15元の弁当」()は運が良くないと購入できない。一方、インスタントラーメンの平均価格は5~10元(約100~200円)で、幅広い層に親しまれており、学生や労働者、サラリーマンにとって「旅の必需品」となっている。高鉄の飲食が本当に安価で便利であれば、乗客がインスタントラーメンにこだわる必要はなくなるだろう。

高鉄のサービスが、車内環境や乗客の体験を真に考慮するのであれば、性急な「脱インスタントラーメン化」ではなく、民意に応じた対策を講じるべきだ。例えば、競争機制を導入し、複数の飲食企業が高鉄の食事提供に参加できるようにすることで、弁当の価格を下げ、質の高い手頃な選択肢を提供することが求められる。
この問題は、単なるインスタントラーメンの販売停止にとどまらず、公共交通機関のサービス向上や乗客のニーズへの配慮について、改めて考えるきっかけとなっている。
(中国経済新聞)