第20期中国共産党中央委員会第4回全体会議(四中全会)では、「国民経済・社会発展第15次五カ年計画(十五五)」の策定に関する《中共中央の提案》が審議・採択され、今後5年間の中国経済・社会発展の青写真が示された。
10月24日、中共中央は記者会見を開き、四中全会の精神を説明した。その中で、国家発展改革委員会(国家発改委)の鄭栅潔主任は、「現代化産業体系の構築」が十五五期間における最優先課題として位置づけられたことを明らかにした。鄭主任は「中国経済は実体経済によって立ち上がり、今後も実体経済によって未来へ進む」と強調し、その核心となる4つの重点方向を「基盤の強化と高度化」「新産業の育成」「サービスの拡充と高品質化」「基盤強化と効率向上」と整理した。

■ 基盤の強化と高度化:伝統産業の再生で10兆元市場を創出
鄭主任によれば、伝統産業は現在の中国産業体系の「土台」であり、製造業付加価値の約8割を占めている。提案では、化学、機械、造船などの重点産業での競争力強化や、先進製造業クラスターの形成を進める方針が示された。これにより、今後5年間で約10兆元(約210兆円)規模の新たな市場が生まれ、「質の高い発展と持続的成長を両立させる」としている。
■ 新産業の育成:新興・未来産業が新たな成長源に
2024年、中国における「新産業・新業態・新ビジネスモデル」経済の付加価値はGDPの18%を超えた。
提案では、再生可能エネルギー、新素材、航空宇宙、低空経済(ドローン物流など)といった戦略的新興産業を重点的に育成し、「兆元級産業」を複数形成する構想を掲げた。また、量子技術、生物製造、核融合エネルギー、脳とコンピューターをつなぐインターフェース、具現化知能(身体を持つ人工知能)、第6世代移動通信(6G)など、未来産業の先行的な開発にも力を入れる。鄭主任は「これらの産業が10年以内に高技術産業をもう一つ築き上げる規模に成長し、経済全体に新たな原動力をもたらす」と述べた。
■ サービスの拡充と高品質化:サービス業の成長で内需拡大
サービス業は中国経済において依然として成長余地が大きい。提案では、現代サービス業と先進製造業、現代農業の融合を進める「サービス業拡大・高度化行動計画」を打ち出した。「サービス業の拡充と高品質化は、経済構造の最適化を促すと同時に、国民生活の向上と新たな市場拡大を実現する」と鄭主任は述べた。
■ 基盤強化と効率向上:インフラの近代化と統合
中国はすでに世界最大規模の高速鉄道、高速道路、港湾、電力網、通信ネットワークなどのインフラを有している。提案では、新型インフラの先行的整備、現代的交通網の構築、インフラの統合的計画を推進し、「インフラの連結性、安全性、効率をさらに高め、経済発展を強力に支える」とした。
■ 内需拡大:経済の持続成長を支える「戦略的柱」
鄭主任は「強大な国内市場こそが中国式現代化の戦略的な支柱である」と述べ、内需拡大を今後5年間の戦略的重点に据えた。
提案では、「拡大」「効率」「循環」の3方向から取り組みを進め、消費振興の強化、サービス消費の拡大、投資構造の最適化を掲げた。また、「モノへの投資」と「人への投資」を結びつけ、民間企業が主要プロジェクトに参加できる長期メカニズムを整える方針も示した。
中国の年間固定資産投資はすでに50兆元に達しているが、民生改善や新たな成長力の育成といった課題は依然として多い。鄭主任は「政府投資を発展の急所に集中させ、民生分野への比重を高めることで、より大きな波及効果を生み出す」と述べた。
■ 統一市場の構築で経済循環を円滑化
市場の一体化も十五五計画の柱の一つである。現在、中国の市場参入ネガティブリストの項目数はかつての328項目から106項目へと減少し、要素の流動を阻害していた4200件超の政策が整理された。しかし、依然として地域保護や市場分断といった課題は残る。
提案では、市場制度とルールの統一、地方政府の経済活動の規範化、統一的な市場監督体制の整備、過度競争の是正などを進め、「超大規模市場の潜在力を最大限に発揮する」とした。
今後5年間、中国は「実体経済の強化」と「新産業の育成」、「内需拡大」と「市場統一」を両輪に据え、10兆元規模の新市場を創出しながら、高品質で持続可能な発展を目指していく構えだ。
(中国経済新聞)
