中国各地の出生人口の実態が明らかになった。第一財経が各地の公開資料や『中国統計年鑑2025』に掲載された31省(自治区・直轄市)の出生率データをもとに集計・推計した結果、2024年に出生人口が20万人を超えた省は18省にのぼり、このうち14省では30万人以上の出生が確認された。
首都経済貿易大学労働経済学院の姜全保教授は、人口の「高品質な発展」においては年齢構造を含む人口構造の最適化が重要であり、新生児数を一定規模で安定させることが、人口減少のスピードを過度に速めないための鍵になると指摘している。
今回の集計では、北京、天津、西蔵、福建、黒竜江など一部の地域が具体的な出生人口数を公表していないため、第一財経が出生率と常住人口をもとに推計を行った。
出生人口が30万人を超えた14省は、広東、河南、山東、四川、河北、江蘇、広西、貴州、浙江、雲南、湖南、安徽、湖北、江西で、これら14省の出生人口合計は696万8,000人と、全国の出生人口の約73%を占めた。
なかでも広東、河南、山東、四川の4省は出生人口が50万人を超えた。広東省の出生人口は113万人に達し、7年連続で「全国最大の生育省」となったほか、5年連続で唯一、出生人口が100万人を超える省となっている。全国に占める割合は11.8%に達し、いわゆる「長三角(上海・江蘇・浙江)」3地域の合計を大きく上回った。
広東省体制改革研究会の彭澎・執行会長は、広東が高い出生数を維持している背景として、①常住人口が全国最多で、省外からの流入人口が非常に多く、かつ婚育年齢層の比率が高いこと、②潮汕地域や粤西の湛江などでは生育意欲が低下しつつも、伝統的な生育観念の影響により、他地域と比べて相対的に出生意欲が高いこと、の2点を挙げている。

広州市の夜景
第7回全国人口センサスによれば、広東で居住・就業する省外戸籍人口は2,962万人を超え、全国で突出して多い。また、湖北・湖南など中部地域や西南地域からの大学卒業生を中心に、戸籍の純流入も続いている。
個別に見ると、河南省の2024年出生人口は76万2,000人で、前年より6万7,000人増加し、全国の約8.0%を占めた。出生率は7.78‰だった。山東省は64万9,000人で前年比3万9,000人増、全国比6.8%、出生率は6.42‰。四川省は53万6,000人で、全国比は5.62%となっている。
河北、江蘇、広西、貴州、浙江、雲南の6省はいずれも出生人口が40万人を超え、5位から10位に位置した。湖南、安徽、湖北、江西の長江中流域4省は30万~40万人の水準だった。
一方、福建、陝西、新疆、山西の出生人口は20万~30万人の間にあり、福建と陝西はいずれも29万1,000人だった。
全国全体では、2024年の出生人口は954万人となり、前年より52万人増加した。これは2017年以降続いてきた減少傾向が初めて反転した形で、出生率も6.77‰と、前年から0.38ポイント上昇している。
出生人口の地域差が依然として大きい中、人口流動や年齢構造、地域文化などが出生動向に与える影響が、改めて浮き彫りとなっている。
(中国経済新聞)
