1~11月の中国鉄道旅客数42.8億人、過去最高を更新

2025/12/17 17:00

中国国家鉄路集団有限公司(以下、国鉄集団)はこのほど、2025年1~11月の全国鉄道旅客輸送実績を発表した。それによると、同期間に鉄道を利用した旅客数は延べ42億8,000万人となり、前年同期比6.6%増と、同時期として過去最高を記録した。

国鉄集団の旅客部門の責任者は、冬季に入ってからの取り組みについて、季節性の観光需要の高まりを的確に捉え、旅客輸送サービスの高度化を進めていると説明する。各地の特色を生かした冬季観光列車の運行に加え、観光向けの新版「観光回数券」や、スキー用品の持ち運びを容易にする「スキー用品持ち込み支援サービス」など、新たな商品・サービスを相次いで導入。供給面から需要を喚起し、沿線の文化・観光資源を活性化することで、氷雪経済や観光経済の発展に新たな活力を注いでいる。

まず、旅客輸送能力の供給面では、市場ニーズに即したきめ細かな対応を強化した。今年新たに開業した路線や増備された車両を有効に活用し、鉄道予約サイト「12306」のビッグデータを基に、列車の運行計画を柔軟に最適化。その結果、1~11月の全国の旅客列車運行本数は、1日平均1万1,258本となり、前年同期比で7.1%増加した。

次に、「思い立ったらすぐ出かける」旅行を後押しする新型チケット制度の拡充も進んでいる。回数券や定期券、観光向け回数券などの導入が進み、現在では73の高速鉄道路線で利用可能となった。さらに11月27日からは、全国212駅で、「一度の購入で分割して乗車でき、15日間有効」とする新方式の観光向け回数券25種類が順次発売されている。利用者は指定された発着駅の範囲内で、2~10区間の行程を自由に選択できる。

また、氷雪経済の活性化に向けた取り組みも本格化している。雪のシーズン到来に合わせ、鉄道各社は利便性向上策を打ち出し、スキーやウインタースポーツを楽しむ旅行者を支援している。例えば、北京鉄路局グループは京張高速鉄道で「スキー用品持ち込み支援サービス」の試験運用を開始した。事前にオンラインで予約すれば、スキー板などの用品を列車内の指定スペースに持ち込むことができ、「高速鉄道でスキーに出かける」スタイルが、より手軽で快適なものとなっている。

鉄道旅客数の堅調な増加は、中国国内における移動需要と観光消費の回復を映し出すと同時に、鉄道を軸とした地域経済活性化の広がりを示している。

(中国経済新聞)