5月28日付の『ニューヨーク・タイムズ』によると、アメリカ政府は中国への一部重要技術の輸出を停止し、その中にはジェットエンジン関連技術も含まれている。これは、中国の国産商用機「C919」を開発している中国商用飛機有限責任公司(中国商飛)を対象とした措置で、同社は現在、エアバスやボーイングといった大手航空機メーカーと競合している。
報道によれば、米商務省は一部の輸出ライセンスを停止しており、これにより米国企業が中国商飛に製品や技術を提供することが制限される。これらの製品は、C919開発に不可欠なものであるという。また、米商務省は声明の中で「戦略的に重要な輸出について再評価中である」と述べている。
C919は中国国内で製造されているが、多くの部品は海外から供給されており、中でもエンジンには米GE航空とフランスのサフラン社が合弁で製造した「LEAP-1C」が使用されている。2020年にも、GEの輸出ライセンスの拒否が検討されたが、当時は最終的に承認されていた。

今回の措置について、中国駐米大使館の報道官は「国家安全保障を口実とした輸出規制の乱用と、中国に対する意図的な封鎖・抑圧」に強く反対すると表明している。
『環球時報』によると、航空専門家の王亜男氏は「エンジン供給に支障が出ればC919の納入に影響が出る可能性がある」と述べつつ、「中国は代替動力技術の研究を絶えず進めており、今回の措置が国産航空機開発の加速を促すことになるだろう」と指摘している。
さらに、『ニューヨーク・タイムズ』は、航空技術以外にも、米国が半導体や特定の化学品、機械関連技術の対中輸出を停止したとも報じている。ロイターによると、米商務省はCadence、Synopsys、Siemens EDAなどの企業に対し、中国へのEDA(電子設計自動化)ソフトウェアの供給を停止するよう通達したという。EDAは半導体設計に不可欠な技術であり、この制限は中国の半導体産業に大きな影響を及ぼす可能性がある。
このように、米中間の技術摩擦は激化しており、今後の両国関係と世界のハイテク産業に対する影響が注目されている。
(中国経済新聞)