中国の自動車業界はここ数日、値引き合戦を展開している。各社とも軒並み値下げをして最大40%ダウン、あまりの安さに品質を疑う声も出ている。また、ともにフードデリバリーを手掛ける京東と美団が「配達員への手当合戦」を始め、都合100億元もつぎ込んでいる。さらに、通販サイトはアクセスや売上を稼ごうと、販売価格をぎりぎりまで引き下げ、赤字でたたき売りするケースも見られる。
中国のビジネス界は今、価格競争や張り合いといった言葉がごく普通に聞かれる。企業同士が争い、「張り合い」に耐える者がより長く持ちこたえられる。自動車メーカー「吉利」の創業者である李書福氏は最近、「中国の自動車業界は世界で一番張り合っており、荒々しい価格競争で手抜き製造や偽装販売に走っている」と指摘している。
ところが日本では、それとは別の世界で企業が存続しているようである。価格競争などに熱を上げず、「犠牲を払ってでも勝ちに行く」ような張り合いや競争は好まない。こうした「張り合い」が起こらないのだ。
日本企業が、中国のような「叩き合い」の価格競争をしないのはなぜか。
その理由としてまず、どの会社も価格競争は一種の「自爆式競争」だと見ている。同業間での競争はライバルの利益を損なわない「共存共栄」が前提で、競争するのは値段でなく革新性や品質だとしている。