中国女性公務員たちが直面する結婚の壁

2025/05/29 12:30

中国の公務員、教師、医者あるいは国営企業の正社員らは「体制内」と呼ばれている、その中に、安定した仕事に就く若い女性たちは「体面」という輝かしいラベルを手にしている。しかし、婚活市場では、こうしたラベルが必ずしも幸せな結婚を保証するわけではない。狭い社交圏、職場での過剰な介入、ミスマッチな条件……。北京で働く「体制内」の女性たちが直面する婚活の現実も厳しい。

華やかなイベントの裏側

 芳寧(仮名)は、修士課程を卒業後、校招(大学での企業採用)を通じて国有企業に入社したばかりの新人だ。入社1年目、彼女は社内から「独身青年聯誼活動」(独身者向け交流イベント)の招待メールを受け取った。興味本位で参加した彼女が会場で目にしたのは、まるで結婚式場のような華やかな装飾と、約100人もの男女がゲームに興じる賑やかな光景だった。しかし、男女比はほぼ1:1にもかかわらず、芳寧は数分で会場を後にした。「なんだか居心地が悪くて」と彼女は振り返る。

 こうした聯誼活動は、体制内では珍しくない。ベーキング教室や手工芸ワークショップといった形式で開催され、参加者は教師、医者、公務員、国有企業の社員など、いわゆる「安定職」に就く人々が中心だ。特に北京のような大都市では、こうしたイベントは「体制内相親大会」と呼ばれ、若者たちの出会いの場として定着している。しかし、華やかな表面とは裏腹に、体制内の女性たちの婚活は多くの壁に阻まれている。

条件が良くても出会いがない

 葉子(仮名)は1995年生まれの山西出身。北京の有名大学で修士号を取得後、試験を経て北京の公立中学校の心理教師として採用された。北京戸籍を持ち、月給は約1万元(約20万円)。勤務時間は規則的で自由度が高い。「北京の95後で編制内教師」という肩書きは、婚活市場ではまさに「最強のカード」と言える。教師は安定した「鉄の飯碗(テツノワン)」であり、どんな経済状況でも一定の収入が保証される。また、教師は子育てや教育に有利で、子どもを自分の学校に通わせることもでき、学区費の負担を軽減できる。

 しかし、27歳の葉子は、結婚を急かされていないにもかかわらず、婚活に対する漠然とした不安を抱いている。「最適な結婚年齢を逃してしまうのでは」という焦りが、心のどこかにあるのだ。彼女の最大の問題は、社交圏の狭さだ。学校と自宅の往復が日常で、接触する男性は生徒か同僚の教師に限られる。彼女の学校では、適齢期の男女教師の比率が1:9と極端に偏っている。「体制内の男性教師は超人気。独身の男性が入社すると、すぐさま上司たちが自分の娘や親戚に紹介するんです。いわゆる『内部消化』ですね」と葉子は笑う。

 さらに、条件のマッチングも難しい。「2年以上学校にいて独身の男性教師は、たいてい何か大きな問題を抱えている。それでは私と釣り合わない」と彼女は言う。学校が主催する聯誼活動もあるが、頻度は少なく、参加者は少年宮や労働組合の関係者に限られる。葉子の両親は積極的に相手を紹介しようとするが、彼女の修士学号、北京戸籍、安定した教師という条件は、両親のビジネス界の知人の中ではなかなか釣り合う男性が見つからない。彼女自身も妥協する気はなく、質の高い男性との出会いの機会は極めて限られている。

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