中国は北京など各地で、「老頭楽」と呼ばれ高齢者の生活の足となっている小型の電動三輪車と四輪車が1月1日から走行禁止となっている。道路や広場、駐車場など公共の場所に停めることもできない。
「老頭楽」は2007年ごろに開発され、値段も安く手続きが簡単なことからたちまちにして普及し、保有台数は一時期1000万台を超えた。
しかしながら、造りが粗悪な上に逆走や違法駐車、信号無視といった事象がしばしば発生し、交通事故が絶えなかった。2017年に中国工業情報化省が発表したデータを見ると、低速電動車による交通事故は過去5年間で83万件あり、1.8万人が死亡し18.6万人がけがをしたという。
2019年初めには中国各地で、現在走行中の低速四輪車を2年~5年後に廃止するという取り組みが発表された。この移行期間が間もなく終了する現在、各地で廃止の動きが強まっている。
高生産リチウム電気研究所(GGII)によると、2018年には低速電動車廃止の指針が打ち出され、四輪車の生産台数は減少に転じて123.3万台前後、また低速車全体の販売台数も初めて前年割れとなった。翌2019年には多くのメーカーが休業に追いやられたことで低速車の生産台数は前年の半分となる85万台、2020年には市場がさらに縮小して生産台数は71万台にまで減り、これに政策や不景気の影響を受けた2021年は生産台数がおよそ32万台に減った。
「老頭楽」は、移行期間の終了が近づいて各地で廃止する動きが加速している。上海市、河南省、江蘇省、安徽省などでは取り締まりや走行規制などに関する方針が打ち出され、北京市は今年1月1日から違法な電動三輪車、四輪車の走行の全面禁止に踏み切った。
また、地方都市でも廃止の動きが見えている。山東省禹城市は、2022年10月1日以前に購入した電動三輪車、四輪車については2023年12月31日まで走行可であったが、2024年1月1日から市内全域で走行禁止とした。天津市、安徽省合肥市、山東省徳州市なども2024年には廃止策が打ち出される予定である。
(中国経済新聞)