イギリスBA幹部、「中国の『30日間ビザ免除入国対象国』になりたい」

2025/07/10 18:48

イギリスのロイターは現地時間7月9日、ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways=BA)のCSO(最高戦略責任者)であるネイル・チェルノフ氏(Neil Chernoff)がこの日に上海で、「去年、北京行きのフライトを運航停止したが、イギリスも旅客需要を引き上げるため、増えつつある中国の30日以内のビザ免除入国対象国になってほしい」と述べたと伝えた。

チェルノフ氏は、「イギリス政府と中国政府が今、外交協力をしており、イギリスがこの計画に加われるか見ている」とした上で、「(旅客)需要改善への方法の一つだと見ている」と述べた。

中国はこのところビザなし入国の対象国を拡大しており、今年6月には55か国に達している。イギリスは30日以内のビザ免除入国の対象国ではないが、去年から、パスポートを所有し乗り継ぎする場合にビザなしで240時間の滞在が可能となっている。

BAは去年10月、他社などと同様にロシア領空の飛行が禁止されたことで、北京行きの便の運航を停止している。

ロシア上空が通れなくなったことで燃料代や乗組員の人件費がかさむ上、機体の稼働率が落ちてしまい、各航空会社はより短い距離で飛行できる中国の航空会社にかなわなくなっている。

「イギリスとは異なり中国は運航制限措置を受けないので、飛行時間が短く、当然ながらより競争力のある便を用意できる」とのことである。

チェルノフ氏は、「上海や香港へ向かう便は今も毎日運航しているが、北京便については再開時期が未定」と述べている。

なおBAは先ごろ、アライアンスを組んでいる中国南方航空との間でマイレージ連携をする予定と発表している。

アメリカの雑誌「タイム」(TIME)は現地時間7月9日に発表したコメントで、「アメリカは国境規制や移民の規制で観光客が入れなくなり、トランプ大統領の政策により世界から孤立しつつある。その一方で中国は、渡航規制を過去最大レベルに緩和している」と指摘した。

コメントによると、中国はビザ免除策の拡大でインバウンドが刺激され、顕著な効果が出ている。国家移民管理局によると、2023年にビザ免除で入国した外国人の数は前年のほぼ2倍となるのべ2000万人以上であった。今年7月16日からはビザ免除の対象国が75か国に拡大する。主要入国地である上海は今年上半期、海外からの入国者がのべ260万人で、このうちビザ免除によるものが半数近くを占め、前年同期を45%上回っている。

「タイム」は、「トランプ政権が中国人留学生へのビザ審査など、一連の往来規制措置を講じている一方で、中国はインバウンドのブームを通じてソフト面の力を引き上げている」といった比較をしている。

中国は、玩具の「ラブブ」(LABUBU)を発売しているポップマートなどの企業が知名度を世界に広め、魅力ある商品で中国のソフト面の力を格上げしている上、中国への観光ムードを盛り上げている。

中国外務省の林剣報道官は先ごろ、「自由自在の『中国旅行』から見どころ満載の『中国ショッピング』、また深い探索のAIからアートトイや映像やドラマのグローバル化。中国を訪れ中国を知る外国人が増えつつあり、『認知の殻』を突き破り、感情や共感を得ている。いい物事を求め、いい生活にあこがれることは国境や民族を問わない。いかなる力も遮ることはできないこと示している」と述べている。

(中国経済新聞)