8月中旬から下旬にかけて、妻子の里帰りも兼ねて北京に10日間滞在した。
去年11月以来の北京行きでまず一番の印象は、猛暑が続いた日本を脱出したものの、北京でも予想外の暑さに見舞われたことだった。35度以上の「猛暑日」は中国語で“高温天气”という。
暑さのため外出の足も随分と鈍ってしまい、家族を連れての行楽もままならなかったが、街中でのちょっとした発見を紹介してみよう。
▲米不足に悩む日本とは対照的に、「ご飯おかわり無料」というレストランが随分と増えている。また2枚目写真の店は「麺の替え玉無料」、そして3枚目はいかにも中国らしい「春雨おかわり無料」である。
▲そして今度は地下鉄。最近開通した路線に乗ったところ、一部の車両が写真のように1人掛けクロスシートというデラックス仕様になっていた。特別料金は不要で、初乗り運賃は相変わらずほぼ全路線3元である。また今でも年末に必ずどこかの路線が新規開通するという状態が続いており、大都会らしく路線図も完全に網目状になっている。
▲引き続き地下鉄の構内。待望久しかった「エキナカ」が随分と増えてきた。飲料の自動販売機もふんだんにある。また花の無人販売所もあった。
▲ついでにこちら。「このホームに電車はとまりません」という意味のネイティブ表現である。現在、日本で至る所に中国語の注意書きが存在するが、そのどれもが直訳調であって、中国人が普通言わないおかしな表現が結構多い。ちなみに「駆け込み乗車はおやめ下さい」は“请勿抢上”といい、同じくわずか4文字で済ませる。中国語は長々とした言い回しを嫌う。
▲今回もまたビジネス関係者と食事を共にした。景気の低迷が続くうえにAI(人工知能)の普及で若年層の雇用が伸びない中、それぞれスキルを活かして懸命にキャリアアップを目指す様子を熱っぽく語ってくれた。
今回同行した子供たちは、祖父や祖母と楽しいひと時を過ごせたようだった。私も17年間過ごした北京への愛着は今もひとしおであるが、本帰国して改めて在日外国人の多さを痛感した中、中国はデジタル化の進展で逆に外国人が不便を強いられているとも感じた。短期滞在ビザ免除の再開など思うように進まない部分もあり、コロナ禍で寸断された国際交流が元通りになるまであと一歩、との印象を受けた。
(文:森 雅継)
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【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で北海道千葉県に在住。