現地時間6月3日午後3時頃、中国の煙台港を出発し、メキシコのラサロ・カルデナス港に向かっていた自動車運搬船「モーニング・ミダス(Morning Midas)」が、アラスカ沖の太平洋海域で火災を起こした。船には3048台の自動車が積載されており、そのうち70台は純電気自動車(EV)、681台はハイブリッド車だったとされる。火災は、EVが積まれていたデッキから発生した可能性があるという。

アメリカ沿岸警備隊によると、火災発生後、同船に乗っていた22人の乗組員は全員が救命ボートを使って無事に脱出し、現場に駆けつけたコンテナ船「COSCO Hellas」に救助された。負傷者は確認されていない。
「モーニング・ミダス」は、ロンドンに本社を置く海運会社Zodiac Maritimeが管理しており、船体の長さは約182.88メートル、リベリア船籍である。2006年に中国・厦門船舶重工で建造され、最大で6000台の自動車を輸送できる能力を持つ。同船は5月26日に煙台を出航し、6月15日にメキシコ到着を予定していた。今回のチャーター主は中国の上汽安吉物流である。
Zodiac Maritimeの声明によれば、火災は最初に電気自動車が積載されていた貨物デッキから煙が確認され、乗組員はすぐに船内の消火システムを作動させたものの、火の勢いはすぐに拡大し、制御が困難となった。沿岸警備隊との協議の結果、全員の安全確保を最優先に考え、船を放棄して退避する決定が下されたという。
現在も船内では火災が続いており、同社は緊急対応チームと連携しながら、消火と曳航作業を支援するためのタグボートを現場に派遣している。火災の正確な原因については、引き続き調査中である。
一方、上汽通用汽車(SAIC-GM)のカスタマーサービス担当者は、今回の船には同社のガソリン車が含まれていたことを確認したが、火災の原因については「現時点では特定されていない」としている。また、安吉物流の関係者によれば、同社がこれまで運航してきた中で、同様の火災事故は一度も発生しておらず、保険処理や事故責任の特定には時間がかかる可能性が高いと述べた。
なお、顧客情報保護の観点から、当該船に積載されていた自動車の詳細な台数、車種、関連企業名などについては、現段階では公表を控えている。
電気自動車を積んだ運搬船が火災を起こす事例は近年複数発生しているが、海上輸送において電池が特に大きな火災リスクとなるかについては、まだ明確な結論は出ていない。
(中国経済新聞)