中国の人力資源・社会保障省と財政省はこのほど、未就職の大卒者を技術者養成学校(いわゆる技術学校)に受け入れるための施策として、「2026年 大卒者など若者の雇用対策に関する通達」を発表した。
同通達の内容や、北京などで大学生向けの技術コースが新設されている状況からみて、技術学校の主な募集対象は未就職の大卒者であることは明らかである。これは、大卒者への就職支援の一環として技術学校への入学を後押しするものであり、技能教育と学歴教育を有機的に結び付けることで、大卒者に新たな就業の道を切り開くことを狙いとしている。
「大卒者の技術学校入学」は学歴の後退や格下げだ、との見方もある。
大学卒業後に技術学校に入学して卒業証書や職業技能認定を受けても、学歴上はプラスにならない。しかし就職を考えると、後退や格下げではなく「学歴+技能」という格上げであり、就職に有利で勤め先が見つかりやすくなる。
大学は出たけれど手に職がなく、卒業証書はあってもスキルがなくて、学んだことが生かされず思うように職が見つからないケースもある。技術者養成学校では、企業が求める実践スキルが身につき、職業技能認定を獲得することで、スキルがそのまま生かせる職に就くことができる。キャリア面を考えれば、入社後すぐに技術系の幹部やリーダー、エンジニア補佐となり、昇進も早まる可能性がある。

大卒者が技術学校に入学することで、学歴を確保した上でスキルも学び、資格が得られる。こうした新たな取り組みで、就職やキャリアアップの中で一歩先を行くことができる。
マクロ的に見ると、「知識+技能」といったマルチ人材を育てることで人材面でも需給のアンマッチの解消につながる上、産業のレベルも格上げされ、新たな生産力により大量の技能人材を受け入れる形が出来上がる。
こうした中、大卒者の中で製造業の人気が高まっている。
製造現場はスマート設備の導入によりデジタル化や自動化が進み、高機能で近代的な仕事場になっており、若者たちの「回帰」を呼び込んでいる。
「北京人力資源・社会保障」のWechatアカウントによると、北京は今年、全日制の大学生の技術者育成について6件、技能就職育成について21件のコースを用意し、長期・短期を交えて特化した人材育成を図るなど、大学生の技能就職へ「道のり」を切り開いた。6つの技術者養成コースはいずれも全日制のカリキュラムで、通学1年間、企業でのインターン1年間の計2年制であり、卒業時には卒業証書および該当職種の技能認定書が交付される上、勤め先を紹介する。「学歴教育」と「技能育成」をうまく結びつけるわけである。
これら6つのコース内容は、スマート製造技術の応用、バイオ製薬、マルチメディア制作(全メディアの運営者育成)、電子技術の応用(集積回路など)、自動車整備(新エネルギー車整備士など)、手工芸といった分野である。対象者は主に北京市内で未就職の大卒者であるが、統合発展している北京・天津・河北省、および就職支援地域における未就職の大卒者も受け入れ、入学要件は高等専門学校卒以上とし、原則として専攻科目と一致したカリキュラムでの採用となる。
北京市人力資源・社会保障局はまた今年、大卒者など若者層を対象に、技術者養成学校や技能関連の構造「産教評」で短期育成プログラム21件を設置した。大学生を中心にさまざまな若者層を対象とし、週末コースや夏季・冬季コース、集中コースを設け、技能を学び、職業技能認定を獲得し、就職に役立てたいという若者たちの要望に応えている。受け入れ準備が整い次第開講し、受講期間はそれぞれプログラムの内容に沿って決められる。
北京のほか、浙江省、広東省、山東省、安徽省など各地でこのところ、就職のレベルアップを念頭に技術者養成学校に対して大学生の技術者養成コースの設置を促す策が打ち出されている。
大学生の技術学校「出戻り」について、学歴の「格下げ」ではなくキャリアアップという「格上げ」だ、と見るメディアもある。教育資源の無駄遣いではなく節約や評価であり、人材を重視しているものだという。
(中国経済新聞)
