中東情勢悪化下のトルコ観光 乗り継ぎ客が主流、中国人訪問増に高まる期待

2026/04/24 11:30

今年に入り、トルコを観光旅行する中国人の数が前年同期より約47%増えており、中国はトルコにとって非常に期待される新たなインバウンドの出所となっている。

ターキッシュエアラインズ(THY)の旅客機が満席の状態で上海を出発し、およそ10時間のフライトを経てイスタンブール空港に到着。乗客は乗り継ぎ、到着の左右に別れて進むが、見たところ乗り継ぎ客が半分以上のようだ。

これは記者が先ごろトルコで見かけた光景である。中東は情勢が悪化してから多くの航空便が運休や遅延となり、ドバイやドーハなど一部の空港ではその影響で航空も観光も打撃を受けているほか、ドバイを経由するクルーズ船も一部運休している。こうした中、アジアとヨーロッパ大陸の境目で微妙な立場にあるトルコの文化観光省Gökhan YAZGI副大臣は、代表団を率いて中国を訪れ、今年に入ってから中国人観光客の数が前年同期より約47%増えたと述べた。

中国は目下、トルコにとって最も大切な観光客源となっており、特にビザ免除策が実施されてから入国者が急増しているという。中東情勢の悪化で客足が伸びなくなった中、行先をトルコに変える人もあり、現地の観光業者は「5月連休」を間近に控えた今、中国人の観光誘致に力を入れている。

トルコ人で生まれ育ちガイド歴15年というöZGE NURさんは、「中東情勢はもちろん知っているが、トルコはずっと安全であり、普段通りの生活を送っている」と語った。中東で戦火が起きてから、中東は極めて危険だと考える人もいて、シーズンを迎えた現地の観光市場も多かれ少なかれ影響が出ているという。

大手旅行会社で長年にわたり海外旅行業務を手掛けている呉偉民さんも、「ドバイやアブダビなどで観光事業が落ち込んでいる中、トルコはほぼ安全ではあるが地域的な意味で不安感が生じているので、海外からの客足も減っている」と述べた。

これについて、トルコの文化観光省や観光広報・開発庁(TGA)は、「トルコの観光は完全に秩序が保たれている。中東の一部地域で情勢が悪化しているが、トルコは地中海国であって今回の衝突には巻き込まれていない。İstanbul(イスタンブール)、Antalya(アンタルヤ)、Bodrum(ボドルム)、İzmir(イズミル)、Cappadocia(カッパドキア)といった人気の観光地は今でもヨーロッパや北米、アジア太平洋から続々と訪問者を迎えている。国内の主な観光都市のリゾート地やホテル、旅行プランや遊覧体験はいずれも予約を通常受付しており、入場できない観光地や営業中止となった場所もなく、政府による観光規制もない。国内を離発着する航空便はすべて平常運航しており、イスタンブール、アンタルヤ、ボドルム、イズミルといった主な国際空港も正常に稼働している。地域の情勢悪化による空港の閉鎖や入場制限、航空路線の変更もなく、大手航空会社も情勢悪化による運休はまったくない」」と述べた。

記者は現地で、このところ中東で空港やフライトに支障が出ていることから、周辺地域への渡航者も含めてトルコで航空便を乗り継ぐケースが多いことがわかった。トルコ着の便の乗客は多く(半分以上という例も)が乗り継ぎしており、別の国に行くケースもあれば国内線に乗り換える客もいる。

ターキッシュエアラインズによると、政治問題の悪化や貿易摩擦で経済が不透明になってはいるが、2025年は引き続き好調だったという。2025年の利子、税金、償却、賃貸費用控除前の利益(EBITDAR)は57億ドルで、利益率は年初に定めた目標範囲の中間以上となる23.7%であった。2026年のEBITDAR利益率は、長期目標に見合った22%~24%で推移する見込みとのことである。

こうした状況についてトルコでは、多くの観光事業者が「様々な見方」をしている。戦火で生じた暗い影がトルコに及んでいくとの見方もある一方、トルコへ到着または乗り継ぎする人が増えて観光面で好機が押し寄せる、と見る向きもある。イスタンブールのブルーモスクや地下宮殿、ブルサのUlu Cami(ウル・モスク)やKoza Han(コザハン)などで、観光スポットや飲食、宿泊事業などはすべて通常営業している。

トルコ文化観光省によると、国別に見た訪問者数の上位はロシア、ドイツ、イギリスの順となっている。

Gökhan YAZGI副大臣は、「国連の世界観光機関によれば、外国人の訪問者数について、トルコは国別ランキングで2017年の8位から2024年には4位となり、観光収入は同じく国別で15位から7位に上昇した。中でも中国人の訪問者数はのべ42万5348人に増えている」と述べた。またトルコ文化観光省のMehmet Nuri Ersoy(メフメト・ヌリ・エルソイ)大臣は、「2025年は入国者数がのべ6400万人であった。また観光収入は652.31億ドルであり、2026年には680億ドルまで伸ばしたい」と述べている。

トルコ文化観光省はまた、中国はすでに極めて有力なインバウンドの出所となっていると表明する。トルコは2026年1月2日から、中国の一般旅券所持者に対し観光や乗り継ぎ滞在時のビザ取得を不要としており、180日間で最大90日まで滞在が可能となっている。また両国を結ぶ空の直行便も増便の一途をたどっており、国内人気の観光地は中国人観光客を増やそうと中国語でのガイド対応の向上に努めている。また各地でデジタル化の普及拡大も進み、今年に入ってから中国人の訪問者数が前年の同じ時期より約47%増えている。

現地では今、観光スポットやレストラン、公共施設で中国語サービスを始めているところもあり、イスタンブールの中心街には中華料理店もある。

春秋観光の周衛紅副総経理は、「今年の5月連休は、一部の国や地域では情勢を受け客足に影響が出るだろうが、春の行楽シーズンで休みも長いことから、やはり海外に行きたいという意欲が生まれる。よって国内の旅行者数が去年より増えるのも想定内だ。また中東への旅行や中東経由での旅行を計画していた人たちも、他の場所への旅行プランを前向きに検討しており、トルコや中央アジア、北コーカサスが人気の旅行先となっている」と述べた。

2026年の夏の観光プランもすでに受付を始めているというトルコの文化観光省は、「中国を念頭に、観光事業者やオンラインの旅行会社、提携業者に対して夏場のシーズンに向けてプロモーションを勧めている。必要性に応じてデータや資料、状況レポートを事業者に提供し、市場の拡大を後押しする」と表明している。

(中国経済新聞)