中国製太陽光が広げる「自家発電」 新興国のエネルギー構造を変革

2026/04/20 19:30

中国製の太陽光発電(光伏)製品が、世界各国の家庭や産業に広く浸透し、「自家発電」の普及を後押ししている。過去10年間で、中国企業による大規模生産と技術革新を背景に、世界の太陽電池パネル価格は約80%下落した。現在では世界の光伏パネルの70%以上が中国で生産されており、同分野での主導的地位を確立している。中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給不安が高まる中、再生可能エネルギーの重要性は一段と浮き彫りとなっている。

パキスタンでは、中国製パネルの普及が社会に大きな変化をもたらしている。北西部カイバル・パクトゥンクワ州では、多くの農村住民が自費で太陽光パネルを購入し、発電・蓄電システムを構築。日常生活に加え、灌漑や温室栽培、乾燥、コールドチェーンといった農業分野にも活用している。現地農場主は、中国製パネルについて「価格が手頃で品質も高く、農村家庭の電力需要を十分に満たしている」と評価する。

調査によると、パンジャブ州南部やシンド州北部の農村では、約半数の世帯が太陽光パネルを設置しており、その大半が中国製とされる。現地企業も中国メーカーと連携し市場導入を進めており、「太陽光パネルが嫁入り道具になるほど普及している」との声もある。

パキスタンは人口2億4000万人超を抱える一方、約4000万人が安定した電力供給を受けられていない。電力料金の高さや停電の頻発が課題となる中、政府と民間はここ10年、太陽光発電の普及を加速させてきた。今年2月にはギルギット・バルティスタン地域でも新たな太陽光計画が始動し、全国規模での導入が進んでいる。

その結果、かつては長時間の停電に悩まされていた地域でも、扇風機やポンプ、小型家電の安定使用が可能となった。2025年の夏季ピーク時には、太陽光発電量が初めて国家電網を上回り、電力利用者の77%が自家発電を主力とする状況に至っている。エネルギー構造において、太陽光はもはや周辺的存在ではなく、重要な柱となった。

データによれば、2021年末から2025年末にかけて同国の太陽光発電比率は5倍に拡大。2022~2024年の中国からのパネル輸入も5倍に増加し、輸入の95%以上を中国製が占める。これにより、パキスタンは世界でも最も需要が急拡大する市場の一つとなっている。

産業分野でも導入は進む。パンジャブ州の繊維工場では、1メガワット規模の太陽光システムが100台以上の織機や縫製工場、オフィスに電力を供給し、毎月大幅な電気代削減を実現している。現在、同地域の繊維企業の15~20%が部分的に太陽光発電へ移行している。

中東情勢の悪化によるエネルギー輸送の停滞も、太陽光普及の効果を際立たせている。パキスタンはエネルギーの約3分の1を輸入に依存し、その多くがホルムズ海峡を経由するが、太陽光の普及により、今回の供給混乱の影響は限定的にとどまっている。専門機関は、事前の太陽光導入がなければ影響ははるかに大きかったと指摘する。

こうした動きは他の新興国にも広がる。インドネシアやフィリピンなども太陽光支援策を打ち出しており、クリーンエネルギーへの転換が加速している。さらに欧州でも需要は急増しており、ドイツでは太陽光システムへの問い合わせが急増、輸入の約88%を中国製が占める。英国でも販売が大幅に伸び、「家庭が自らの発電所を持つ」動きが広がっている。

中国企業は各市場のニーズに応じた製品供給で存在感を高めている。欧州市場向けにカスタマイズ製品を展開する企業関係者は、長年の取引を通じて顧客ニーズを的確に捉えていると強調する。

また、統計によると、2026年3月の中国の太陽電池輸出量は前年同月比で80%以上増加した。中東情勢によるエネルギー不安に加え、輸出還付政策の変更前に出荷が集中したことも背景にある。

世界的なエネルギー不安と脱炭素の流れが交錯する中、中国の太陽光技術は、各国のエネルギー転換を支える重要な基盤となりつつある。特に電力インフラが脆弱な地域においては、「屋根の上の発電所」が生活と経済を支える現実的な解決策となっている。

(中国経済新聞)