原材料高騰で家電値上げ相次ぐ 4月から最大20%上昇、業界に二極化の兆し

2026/04/4 12:30

中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇や、AIデータセンター拡張に伴うメモリ価格の急騰を背景に、中国の家電業界で値上げの動きが広がっている。4月に入り、テレビやエアコン、冷蔵庫、洗濯機などの出荷価格が相次いで引き上げられ、キッチン家電では最大20%の上昇も見られる。

関係者によると、4月1日以降、一部メーカーは小売業者向けの供給価格を2~10%引き上げた。レンジフードやコンロなどの大型キッチン家電では10~20%程度の値上げとなっている。ただし、小売店ではまだ在庫品の販売が中心のため、店頭価格への影響は限定的で、今月中に徐々に反映される見通しだ。

背景には原材料コストの急騰がある。家電メーカー関係者によれば、2026年3月末時点で銅価格は1トン当たり9万5195元(約200万円)、前年比18.6%上昇、アルミは2万4530元(約51万円)で18.85%上昇した。さらにABS樹脂は1トン当たり1万5500元(約32万円)と51.7%の大幅上昇、ポリプロピレンも約26%値上がりしている。こうしたコスト増は製品原価の約1割に達し、価格転嫁は避けられない状況だという。

加えて、AI需要の拡大により半導体メモリ価格も急騰している。業界関係者によると、DDRメモリは2025年初から2026年3月中旬までに約10倍、NAND型フラッシュメモリも2026年初には前月比で倍増し、さらに上昇が見込まれている。これがテレビなどの製造コストを押し上げている。

企業別・製品別に見ると、冷蔵庫のコストは8~10%、洗濯機は6~8%、エアコンは5~6%上昇しており、特に化学材料の使用量が多い冷蔵庫で影響が大きい。利益率の低い製品では値上げ圧力が強く、企業は収益確保のため価格調整を進めている。

また、人民元高も輸出型企業の負担となっており、海外向け製品でも値上げの動きが広がる可能性がある。業界では「価格競争の激化で収益が圧迫されてきたが、足元では各社がより合理的な価格戦略に転じている」との見方が出ている。

一方で、需要の弱さが値上げの制約要因となっている。市場調査によると、2026年に入ってからの12週間で家電市場の小売額は前年同期比13.9%減、販売数量は17.4%減と大幅に落ち込んでいる。需要低迷の中での値上げは販売減少を招くリスクがあり、メーカーにとっては難しい判断を迫られている。

専門家は、今回の値上げは原油や金属などの価格上昇に伴う「構造的なコスト増」によるもので、短期的には避けられないと指摘する。その一方で、需要不足との板挟みにより、業界の再編や企業間の格差拡大が進む可能性が高い。資金力やブランド力を持つ大手企業は高付加価値製品へのシフトで対応できる一方、中小メーカーは厳しい局面に直面するとみられる。

なお、業界関係者の間では、今回の値上げは5月ごろには一服し、市場が徐々に価格上昇に適応していくとの見方も出ている。

(中国経済新聞)