中国「北斗時空サービス産業」、2025年の総生産額が28兆億円超に

2026/05/19 15:15

中国衛星導航測位協会は18日、北京で「2026中国北斗時空産業発展白書」を発表した。白書によると、2025年の中国の北斗時空サービス産業の総生産額は1兆3323億元(約28兆7000億円)に達した。このうち、基盤となる衛星測位産業(北斗産業)の生産額は6290億元(約13兆6000億円)で、前年比9.24%増となり、高い成長力と市場潜在力を示した。

北斗時空サービス産業は、中国の衛星測位システム「北斗」を中核に、リモートセンシング地理情報、移動通信、屋内測位などの技術を融合した総合産業を指す。

白書によると、中国では現在、北斗時空サービス産業に関連する企業・団体が3万を超え、従業員数は約200万人に達している。中国本土に上場する北斗関連企業は323社に上り、関連生産額は産業全体の16.4%を占めた。大手企業が産業の高度化・集約化をけん引しているという。

中国衛星導航測位協会の張輝峰会長は、「2025年の北斗時空サービス産業の最大の特徴は、『衛星測位』から『時空サービス』への飛躍を実現したことだ」と説明。「技術融合、用途の多様化、産業エコシステムの多元化が進んでいる」と述べた。

中国ではすでに、半導体チップ、モジュール、アンテナ、端末機器からシステム統合、応用サービスに至るまで、北斗関連の産業チェーンが構築されており、サプライチェーンの安定性も高い。

2025年の北斗対応端末の国内販売台数は4億1000万台を超えた。このうち、北斗測位機能を搭載したスマートフォンの出荷台数は約2億8000万台、車載ナビゲーション端末の販売台数は2400万台以上だった。

また、5G基地局と北斗システムの融合も進み、「通信・測位・センシング一体型」の新たなデジタルインフラとして発展している。サービス範囲は地上だけでなく、低空域や地下空間にも広がっている。

農業分野では、「北斗+IoT(モノのインターネット)/リモートセンシング」により、「空・宇宙・地上」を一体化したスマート農業システムを構築。生産工程の高精度化や無人化が進んでいる。

2025年末時点で、中国の主要業界における北斗端末の保有台数は約4000万台に達し、前年比23.96%増加。重点分野での総合導入率は約90%となった。

一般消費分野でも北斗の普及は進んでいる。2025年末時点で、北斗測位に対応したスマートフォンは12億~14億台に達し、市場全体の約98%を占めた。北斗対応のウェアラブル端末は1億6000万台超、北斗ナビ機能を搭載した乗用車は1億台を超えた。

さらに、1000万人以上の一般利用者が「北斗ショートメッセージサービス」を利用しており、ネットワーク接続端末数は3000万台を超えている。

張会長は、「第15次五カ年計画期間(2026~2030年)は、中国の北斗産業が『構築・普及』段階から『強化・高度化』段階へ移行する重要な5年間になる」と強調。「北斗はデジタル化・情報化からスマート化への転換を支える中核基盤となり、各産業や国民生活に広く浸透していく」との見通しを示した。

また、国際展開についても、「より開放的な姿勢で世界に時空サービスを提供していく」と述べた。衛星測位産業の市場規模は、第15次五カ年計画期間中に1兆元(約21兆5000億円)を突破する可能性があるとしている。

今回の白書は、中国衛星導航測位協会が14年間発表してきた「中国衛星導航・位置サービス産業発展白書」を全面刷新し、初めて「北斗時空サービス産業」をテーマに掲げたもの。中国の北斗産業研究が新たな段階に入ったことを示している。

(中国経済新聞)