中国の大手養豚企業が、2026年1~3月期にそろって赤字へ転落した。中国メディア「第一財経」が各社の決算資料を集計したところ、牧原股份、温氏股份、新希望 など、A株上場の主要養豚企業16社がすべて最終赤字を計上した。16社合計の売上高は1158億元(約2兆4300億円)を超えた一方、純損失の合計は75億元(約1570億円)を上回った。
背景にあるのは、生体豚価格の急落だ。中国国家統計局によると、2026年に入ってから生体豚価格は1キログラム当たり12元(約250円)前後から急速に下落。10元(約210円)を割り込み、4月中旬には9元(約190円)まで低下し、この10年で最安値水準となった。
複数の上場企業関係者は、「現在は資金繰りと負債比率の安定を維持しながら、飼育コストを下げ続け、市場回復を待つしかない」としている。四川省で10年以上養豚業を営むL氏も、「今後価格が反発したとしても、業界全体は薄利時代に入る」との見方を示した。
最大手の牧原股份は、売上高298億9400万元(約6280億円)を計上したものの、純損益は12億1500万元(約255億円)の赤字となり、前年同期の黒字から一転して業界最大の損失を記録した。
温氏股份は売上高245億3000万元(約5150億円)で前年同期比0.34%増だったが、純損失は10億7000万元(約225億円)となり、前年同期の黒字から赤字へ転落した。
新希望は売上高272億9200万元(約5730億円)で前年同期比11.77%増となった一方、純損失は8億9800万元(約189億円)に達した。
新希望は四半期報告書で、「生体豚価格の下落により、養豚事業が赤字となったことが業績悪化の主因だ」と説明している。
また、天邦食品 も、「生体豚価格の大幅下落」を理由に、純利益が前年同期比657.76%減少したと明らかにした。

「売れば売るほど赤字」の状態に——中国の養豚業界では、かつて小規模農家による分散飼育が主流だったが、近年は大規模化が急速に進んでいる。
公開データによると、2025年の全国出荷頭数上位5社(A株・香港上場企業を含む)の市場シェアは全国全体の21.59%に達し、前年から2.59ポイント上昇した。
大手企業では管理効率の向上によって飼育コスト削減が進んでいるものの、現在の豚価格は依然として採算ラインを下回っている。
2026年1~3月期時点で、大手養豚企業の平均飼育コストは1キログラム当たり12元(約250円)前後とされる。
牧原股份によると、2026年1~2月の完全養殖コストは1キログラム当たり約12元だったが、3月には11.6元(約240円)まで低下した。
一方、天邦食品は、肥育豚の総コストを12.66元(約265円)まで削減したものの、商品豚の平均販売価格は11.22元(約235円)にとどまったとしている。
中小規模の養豚農家からは、「一般的な白豚を1頭売るごとに数百元(数千円~1万円超)の赤字になるのが当たり前になっている」との声も出ている。
こうした状況を受け、大手各社は一段のコスト削減を最重要課題に掲げている。
牧原股份は、「コスト低減を通じて景気循環を乗り切る力を強化する」と説明。現在の飼育指標は改善傾向にあり、4~6月期にはさらにコスト低下が進むとの見通しを示した。
温氏股份の関係者も、「豚価格低迷は業界全体に共通する課題だ。製品品質を維持しながら、可能な限り生産コストを抑える必要がある」と述べた。
同社は2026年通年の肉豚養殖総合コスト目標を、1斤(500グラム)当たり5.9元(約124円)に設定。さらに社内では、より厳しい「挑戦目標」を設け、各事業部門に追加のコスト削減を求めている。
一方、四川省の養豚業者・L氏は、「大手企業はコスト削減と大量出荷で優位に立っており、中小企業が規模や価格で対抗するのは難しい」と指摘した。
そのうえで、「中小企業は特色ある品種の育成や、多様化する消費需要に対応した差別化戦略によって活路を見いだす必要がある」との見方を示している。
(中国経済新聞)
