台湾でハンタウイルスによる死亡例 中国CDC「国内では低水準で推移」

2026/05/11 09:53

中国中央テレビ(CCTV)は5月8日、台湾でハンタウイルスによる死亡例が確認されたと報じた。感染はネズミが保有するウイルスに関連しているとされ、感染拡大への懸念が広がっている。

これを受け、中国疾病予防管理センター(中国CDC)は同日、ハンタウイルスに関する解説記事を公表した。それによると、病気を引き起こすハンタウイルスは20種類以上存在し、種類によって症状が大きく異なる。主な病型は「腎症候性出血熱」と「ハンタウイルス肺症候群」の2つに分けられる。

今回の事例で確認された「アンデスウイルス」は、致死率が極めて高いハンタウイルスの一種で、肺症候群による重度の呼吸不全を引き起こすことがある。死亡率は30~40%に達するとされる。一方、中国CDCは、中国国内にはアンデスウイルスの自然宿主は存在せず、人への感染例も確認されていないとしている。

中国で「流行性出血熱」と呼ばれるハンタウイルス感染症は、主に腎症候群として発症する。公開資料によると、青海省と新疆ウイグル自治区を除く全国で症例が報告されている。患者は若年から中年の男性農民や労働者に多いが、基本的には誰でも感染する可能性がある。重症化した場合、適切な治療を受けなければ死亡に至ることもある。

中国CDCによると、中国における腎症候性出血熱の発症数は近年、減少傾向が続いている。国家衛生健康委員会の資料では、2013年に陝西省で流行性出血熱の患者1441人、死亡7人が報告されたが、2012年と比べて患者数は60%、死亡者数は68%減少した。

復旦大学付属華山病院感染科主任の張文宏教授は、「中国における流行性出血熱は低水準で推移している」としたうえで、「健康な人でも感染後に重症化する可能性がある」と警戒を呼びかけた。

また、今回のクルーズ船での感染事例を受け、人から人への感染を不安視する声も上がっている。しかし現在までに、人から人への感染が確認されているのはアンデスウイルスのみで、それも密接な接触者に限られている。例えば、閉鎖空間で長期間共同生活を送る場合などが該当するという。

中国CDCは、ハンタウイルスは一般的に人から人へ感染することはなく、日常生活での接触や公共の場での通常の交流によって感染が広がることはないと強調している。

また海外メディアによると、クルーズ船での感染拡大後、一部の乗客はすでにアメリカ本土へ戻っている。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、この事態を受けて「レベル3緊急対応」を発動した。これは感染症対応体制における最も低い警戒レベルに位置づけられている。

(中国経済新聞)