2026年北京国際自動車展覧会(北京モーターショー)では、中国ブランド車を前に海外来場者がメジャーで車体サイズを測る姿や、海外メーカーの発表会で中国の技術企業が主役級として紹介される場面が目立った。中国メーカーの存在感が世界市場で高まる中、中国と海外の自動車産業の融合は新たな段階へ進みつつある。
中国の自動車産業は、完成車輸出の急拡大だけでなく、サプライチェーンのグローバル化、合弁モデルの再構築、技術標準の国際化などを通じ、世界の自動車産業との結び付きを一段と強めている。

かつて多国籍メーカーは「中国で、中国向けに」を掲げていたが、現在は「中国で、世界向けに」へと戦略を転換しつつある。
オリバー・ブルーメ・Volkswagen Group最高経営責任者(CEO)は、北京モーターショー開幕前夜、「中国は自動車業界の“ジム”のような存在だ」と語った。巨大な市場規模に加え、激しい競争と急速な技術革新が進む中国市場で鍛えられることが、世界での競争力向上につながるとの認識を示した形だ。
同社は中国での現地化戦略を加速させており、中国をグローバル戦略の中核と位置付けている。劉雲峰・VW中国執行副総裁は、中国が電動化・知能化時代における技術革新の重要な発信地になっていると指摘した。
同社は中国で、独自の電子・電気アーキテクチャー「CEA」や、新エネルギー車向けプラットフォーム「CMP」を開発。これにより新型車の開発期間を約30%短縮し、コスト構造も約40%改善できたとしている。
BMWも、中国を重要なイノベーション拠点と位置付ける企業の一つだ。北京モーターショーでは、「新世代BMW iX3ロングホイールベース版」や「新世代BMW i3ロングホイールベース版」を初公開した。
オリバー・ツィプセ・BMWグループ会長は、「中国で、中国のために、中国とともに前進する」という戦略の有効性が証明されていると説明し、今後のBMW各車種にも“新世代”技術を展開していく考えを示した。
海外メーカー各社が中国への投資を拡大する背景には、中国市場の戦略的重要性に対する強い認識がある。中国市場での競争は激化しているが、多国籍メーカーは撤退ではなく、現地開発と投資強化を選択している。
一方、中国企業も、従来の「技術導入側」から「技術輸出側」へと立場を変えつつある。北京モーターショーでは、「逆合弁」という言葉も頻繁に語られた。中国メーカーが海外メーカーに技術やプラットフォームを提供するケースが増えているためだ。XPENGとVWの協業では、XPENGが欧州市場への展開を加速。Leapmotorは、Stellantisと共同で「Leapmotor International」を設立し、2026年2月までに累計輸出台数10万台を突破した。

中国メーカー関係者は、合弁モデルが「技術移転」から「能力共創」へ変化していると説明する。製品企画や開発の主導権は徐々に中国側へ移りつつあり、中国側が研究開発や運営を担い、海外側がブランド力やグローバル資源を提供する新しい協力モデルが主流になり始めているという。
自動運転企業Momentaの曹旭東最高経営責任者(CEO)は、「逆合弁」は双方に利益をもたらすと指摘する。中国の先端技術が海外市場に導入されることで、現地消費者に新しいサービスを提供できるだけでなく、雇用や税収増加にもつながると述べた。
中国メーカーによる海外での「エコシステム構築」も進んでいる。BYDは、ブラジルの乗用車工場で初号車をラインオフし、自動車運搬船8隻を運航開始するなど、輸出中心から現地生産・全産業チェーン展開へ戦略を進化させている。2026年の海外販売目標は150万台としている。また、GAC Groupは、アジア太平洋や中東・アフリカ市場などで5か所のKD工場を建設・運営し、中国式の生産方式や品質管理システムを現地に導入している。
中国自動車産業の世界的影響力は完成車にとどまらない。サプライチェーン企業も急速に国際展開を進めている。Black Sesame Technologiesの楊宇欣最高マーケティング責任者(CMO)は、中国サプライヤーにとって海外市場が「第2の主戦場」になっていると説明する。同社は、中国メーカーとともに海外進出するだけでなく、海外完成車メーカーとの直接協業も進めているという。また、同社製品は米商務省の審査も通過し、グローバル市場進出の条件を満たしたとしている。中国部品企業は、低コスト優位の段階から、技術力と品質を武器にした新たな段階へ移行しているとの見方を示した。
CATLも、サプライチェーンのグローバル化を象徴する企業だ。羅堅氏は、「CATLは誕生当初から国際化を重視してきた」と述べ、同社バッテリー搭載車が世界150以上の国・地域で販売されていると説明した。
知能化分野でも中国企業の存在感は増している。北京モーターショーでは、20以上のブランド、60車種超にMomentaの運転支援システムが採用された。対象には、Mercedes-Benz、Audi、BMWなどドイツ高級車ブランドも含まれる。
さらに、Horizon Roboticsの王雷最高財務責任者(CFO)は、Boschとの協力を通じ、先進運転支援システム(ADAS)市場への参入を進めていると説明。「中国市場だけでなく、世界のパートナーになることが目標だ」と語った。

業界関係者は、電動化・知能化の進展に伴い、合弁メーカーも中国の産業チェーンを積極的に取り込むようになっていると指摘する。CATL、Huawei、Momentaなど中国企業の技術が、海外ブランド車にも広く採用され始めているという。
資本や製品の一方向的な流入から、技術と能力の双方向交流へ――。単なる合弁生産から、研究開発やサプライチェーンを含めた包括的協力へと、中外自動車産業の融合はさらに深化している。業界では、こうした変化が、より開放的で協調的な次世代モビリティ時代につながるとの見方が広がっている。
(中国経済新聞)
