中国半導体業界最大規模の買収案 SMICが中芯北方を完全子会社化へ

2026/05/12 10:03

中国最大の半導体受託生産(ファウンドリー)企業、中芯国際集成電路製造(SMIC)(Semiconductor Manufacturing International Corporation)は5月11日、約406億元(約8500億円)規模となる買収計画について、上海証券取引所の企業買収・再編審査委員会の承認を受けた。

これは中国の半導体ファウンドリー業界において、過去最大規模の買収案件となる。

SMICは、国家集積回路産業投資基金(通称「大基金」)など5社の株主に対して新株を発行し、同社子会社中芯北方集成電路製造(SMIC North)が発行済み株式の49%を取得する計画だ。取引完了後、SMICの中芯北方に対する持ち株比率は現在の51%から100%に引き上げられ、完全子会社化される。

中芯北方は2013年に設立され、SMIC北京、中関村発展集団、北京工業発展投資管理有限公司などが共同出資した。現在は中国国内の主要ファウンドリー企業の一つとなっている。

SMICと中芯北方の協力関係は2013年の合弁工場設立に始まり、13年を経て完全統合へと進む形となった。

公開されている財務データによると、中芯北方の売上高は2023年が115億7600万元(約2430億円)、2024年が129億7900万元(約2720億円)、2025年1〜8月が90億1200万元(約1890億円)だった。純利益は2023年が5億8500万元(約123億円)、2024年が16億8200万元(約353億円)、2025年1〜8月が15億4400万元(約324億円)となっている。利益の大部分は12インチ半導体ウエハー製品によるものだという。

SMICは今回の完全子会社化について、「中芯北方は12インチ集積回路ウエハーの受託製造および関連サービスを提供しており、今回の取引によって資産の質向上と事業シナジー強化が可能になる」と説明した。主力事業の内容自体に変更はないとしている。

SMICは現在、中国最大のファウンドリー企業となっている。2025年の売上高は673億2300万元(約1兆4100億円)で前年比16.49%増、親会社株主に帰属する純利益は50億4100万元(約1060億円)で前年比36.29%増だった。

市場調査会社TrendForce(集邦諮詢)によると、SMICの2025年の世界ファウンドリー売上高は約93億2700万ドルで、世界3位に位置している。上位は 台湾積体電路製造(TSMC)(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)とサムスン電子(Samsung Electronics)で、SMICはこれに次ぐ規模となる。

SMICは、買収完了後には中芯北方の生産能力をより柔軟に配分できるようになり、技術や管理面での完全な統合効果が期待できるとしている。

一方で、課題も指摘されている。現在、成熟プロセス分野では競争激化が進んでおり、価格下落圧力が強まっている。

中国国内では成熟プロセス向け生産能力の大規模増強が進んでおり、世界市場における成熟プロセスのシェアは2024年の33%から2027年には45%まで上昇すると予測されている。しかし、消費電子市場の需要低迷が続いており、供給拡大のペースが需要成長を大きく上回っている。

さらに、聯華電子(UMC)(United Microelectronics Corporation)やグローバルファウンドリーズ(GlobalFoundries)など大手IDM・ファウンドリー企業との競争も激しくなっている。

巨額投資を続けながら収益性を維持できるかが、今後のSMIC経営陣にとって重要な課題となりそうだ。

(中国経済新聞)